ネットフリックス

2008年8月26日 火曜日

早嶋です。

日本でレンタルDVDといえば、TSUTAYAを連想するでしょう。米国では、ブロックバスターという企業があります。しかし、オンラインという修飾語をつけると米国ではネットフリックスが思い出されます。

ネットフリックスはオンラインのレンタルDVDサービスを提供するニューエコノミー型のビジネスモデルを提供している企業です。当時、ネットフィリックスが設立されたとき、「どうかしているのじゃないか?」と多くの人は思ったでしょう。理由は、レンタル業界に君臨するブロックバスターは年商30億ドル、店舗数は数千、米国のみならず国外まで出店しており業界に君臨していたからです。

そして当時「カタツムリ!」と揶揄されました。上記のような市場環境でオンラインストアで見たい映画を注文して郵便で届くのを待ち、返却するときはポストに投函しなければならなかったからです。しかし、結果、大成功。99年の売上が500万ドル、そして06年には10億ドルを誇っています。数学、統計、データ分析を強みとする企業の成功事例として様々な業界で研究されています。

06年当時の会員数は600万人、DVDの配送料は無料、現在は返却用のパッケージがありこちらも無料。ちょっと時間があるときにオンラインで見たい映画をチェックしてお気に入りをリストアップする。貸し出し機関は無制限、延滞料一切無し。借りたDVDを返却したら次を借りれる仕組みです。

ネットフリックスは、アマゾンが提供するような協調フィルタリングを使った推薦アルゴリズムをDVDのお勧め情報に活用しました。プログラミングに精通した数学者を雇い星の数ほどある映画を分類してクラスター化し、顧客が好むのはどのようなクラスターか?を見極めているのです。顧客からのレビューもその都度分析され顧客の好みに合うようにプログラミングされています。

アマゾンがロングテールで成功したようにDVDのレンタルにおいてもロングテールで利益を上げているのです。

興味深いのは配送における分析です。同社は頻繁に利用する会員と滅多に利用しない会員を分けています。そして滅多に利用しない会員の優先順位が高いのです。これは配送サービス無料で月額固定のサービスだから後者の会員が利益率が高いからです。従ってこの層の顧客を大切にしてしっかり離反させないことが重要なのです。そこで借りる頻度が高い会員と低い会員との間で配送の優先順位をうまく案配することに成功したのです。

他にはDVDのレンタル権利をいくらで買うか?といった事象に対してもデータ分析を駆使しています。映画の内容や配役、ストーリーなど様々な項目とレンタルされる回数を予測して権利価格との投資効果を比較するのです。映画でのヒットとレンタルDVDが借りられる回数は相関しない場合がある!というのは有名ですよね。

ネットフリックスのようにデータ分析に長けた企業は実験を通じて学ぶ姿勢が一貫していると思います。



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