早嶋です。
今日は4月11日。今年は筍(たけのこ)の成長があまり良くないらしい。毎月佐賀の某所で山作業をしている。この時期には筍の匂いが鼻を突くが、まだあまり出回っていないし見当たらない。実際、農家の人も、山に入る人も、「今年は少ない」「出てこない」と言っている。理由はなんだろうか。
旧暦で見ると、昔からの自然のリズムが見えてくると思う。
筍は、春の訪れとともに地中から顔を出す。この「顔を出す時期」がいつかというと、旧暦の三月、ちょうど今の4月上旬から中旬にかけてだ。旧暦では、今は三月十三日(2025年4月11日)だ。そして、昔の人は「二十四節気(にじゅうしせっき)」という自然の節目を使って季節を読んでいた。
その中に、「清明(せいめい)」と「穀雨(こくう)」という節気がある。清明は、4月4日頃。春の陽気が満ちて、すべてが清らかに明るくなる頃だ。穀雨は、4月20日頃。春の雨が穀物を潤す時期だ。このあたりの時期に、春の雨が降り、気温が上がると、地中のたけのこが一気に伸びてくるのだ。逆に言えば、雨が少なく、気温も低ければ、筍はなかなか出てこない。
今年はどうだったか。福岡も、関西も、東京も、3月下旬から4月初旬にかけて、雨が少なかった。気温も、一時的に冷え込んだ日が多かった。確かに、季節外れの雪もあった。これは、筍の成長にとってはかなり厳しい条件なのだろう。
昔の記録にも似たようなことが書いてある。江戸時代の和漢三才図会には、「たけのこは春の雨により地を破る」とある。春の雨がなければ、たけのこは地上に出てこれないのだ。つまり、今年の筍不作は、「たまたま」ではない。旧暦や二十四節気で見ると、雨と気温のバランスが悪い年には、たけのこが出にくいのは昔からの自然のリズムだったというわけだ。
いまのような「地球温暖化」や「気候の乱れ」が影響している面もあるかもしれないが、昔の人たちは、自然の微妙な変化をちゃんと見ていたんだと思う。優雅な時間の過ごし方だ。