早嶋です。
昨日に引き続き、今度は直観的意思決定法について考えます。
直観的意思決定法は、昨日触れた分析的意思決定法の対極的な意思決定方法です。ずばり、意思決定を行うときに、最初に頭に浮かんだ方策を検討する!もし、はじめに選択した方策が不適切であると判断したら、次の作を考え検討する。従って、決定したものは最良と言うよりも妥当と言うことになります。
この意思決定方法はは、軍の指揮官が自らの経験、学習、訓練から習得した直観や閃きから、何が重要な要因か?どのような目標が達成できるか?もし、採用した場合、どのような不都合が起こりえるか?などを直ちに判断します。
つまり、状況を瞬時に把握して直観で解し、これをもとに直観でいつ?何をすべきか?を決定するのです(直観は直接的に本質を見抜く意、対して直感は瞬間的に感じる意、違いはポイントです)。
では、何故、直観的意思決定法が出現してきたのか?それはずばり、スピードです。情報化時代のビジネスでも然り、迅速な企画と実行によってビジネスチャンスをものにすることは多いです。軍でも同様にスピードを求めた結果です。
分析的意思決定法に前提条件があったように、直観的意思決定法にも5つの前提があります。
1)ベストな方策を選択しようとあれやこれやと悩むよりも、ベターは方策を短時間で決めて実行した方が良い結果をもたらす。
2)そもそも、確実な情報は存在しないという前提を掲げ、完璧な方策を求めるべきではない。
3)直観力を働かせることで、不確実性な世の中に対して状況を迅速に理解できるようになる。
4)分析的意思決定法を科学とした場合、直観的意思決定法は技術の領域である。
5)直観力は経験や学習、訓練で身に付けることが出来る。
ビジネススクールでは2年間のうち最初の1年はマネジメント理論の課目を履修することが出来ない場合が多いです。代わりに履修する課目は理論を離れてビジネスの各種事例研究、いわゆるケーススタディです。そして、2年目になって、マネジメント理論を履修します。これは、直観的な力を養うための1つのノウハウかも知れませんね。
実際に、直観力の養成に米軍も同様のアプローチを取っているようです。指揮官の卵たちは様々な作戦事例をもとに意思決定の演習を数多く行います。これはいくつかの代表的な事例に留まらず、出来るだけ数多くの事例、幅広い事例、各種各様の事例に取り組みます。このようにして直感的な意思決定能力を養っているのです。
さて、分析的意思決定法と直観的意思決定法、どちらが優れているのか?確かに、これまで行われてきたような分析的意思決定法は、時間に切迫した状況や急激に変化する状況では役に立たないでしょう。現在の状況はこの状況が多く観察できると思います。だからと言って、分析的意思決定法が劣っているとは言えないと思います。
ポイントは分析的意思決定法のみで意思決定を行わないことです。状況が異なればその状況に応じるような柔軟な意思決定が求められる。そのために両方の意思決定法に精通することが大切なのです。