なぜクロージングが必要なのか

2024年12月5日 木曜日

高橋です。

私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。

今月のテーマは「なぜクロージングが必要なのか」です。前回はテストクロージングについて書きました。今回は、そもそもなぜセールスプロセスにクロージングが必要なのか解説します。

あらためてクロージングの定義です。クロージングとは「今、目の前にいるお客様に対して、契約の決断を促すための行為」と私は定義しています。営業マンによる「意思決定を支援するサービス」とも言えるでしょう。
クロージングをしない営業マンの商談に立ち会ったことがあります。その姿は、「決めるのは、あなたです」といったスタンスが前面に漂っていました。そこには「精一杯、全力で取り組みます!ぜひ、私に任せてください。」という覚悟が感じられません。そのような姿勢では、お客様も決めてはくださいませんね。

さて、本日のテーマである、「なぜクロージングが必要なのか」ですが、結論は「人間には基本的な弱さがある」ためです。人間の心理を掴むことはセールスにとってとても大事です。人間には基本的な欲求と基本的な弱さがあり、商談中、お客様の心理は欲求と弱さの間を振り子のように行ったり来たりしているのです。どういうことか、説明しましょう。

「人間の基本的な欲求」とは、「生存の欲求」、「愛・所属の欲求」、「力の欲求」、「楽しみの欲求」、「自由の欲求」があるとされています(選択理論心理学より)。つまり、「家族のために、家を建ててあげたい」とか、「カッコいい車に乗って認められたい」とか、「旅行に行って楽しみたい」といった欲求があり、それを満たすために商品サービスを買います。

しかし、同時に「人間の基本的な弱さ」も顔を出します。「人間の基本的な弱さ」とは、「物事の決定を先に延ばす」、「いちばん抵抗の少ない楽な道を選ぶ(Noと言って済ます)」、「責任を回避し、現実に直面しようとしない」、「問題を解決しようとする意志に欠ける」、「先行きを心配する(支払えるか)」です。この弱さのために、特に明確な理由があるわけでもなくただ決断することができません。

このような基本的な欲求と基本的な弱さは誰もが持っています。そして、商談の最後、決断をしなければならない場面において、欲求と弱さの間を揺れ動くので決められないのです。最後、振り子が弱さの方に傾くと、「今回はやめておこう」、「もうちょっと検討します」、となり契約に至りません。

しかも人間の心理には「現状維持バイアス」といって、何かを変えることで得をする可能性があったとしても、その変化に伴う諸処のストレスを忌避し、現状維持を選択しようとする傾向があります。よって、営業マンが何もしなければ、現状維持つまり契約しない方に傾きがちです。

だからクロージングが必要なのです。営業マンがクロージングをすることにより、お客様の心理の振り子を欲求の方に導き、気持ちよくご契約いただくわけです。
これがクロージングというプロセスが必要な理由です。

本当に自社の商品サービスに自信があり、お客様のためにもなると信じられるなら、今、目の前にいるお客様のためにクロージングをして差し上げるのは営業マンの責務だと思います。よく強いクロージングは嫌われるのではないか、クロージングは迷惑な行為なのではないかと心配する営業マンがいますが、逆にクロージングしない方がお客様に不利益を生じると考えるべきですね。

次回は具体的なクロージングの方法をお伝えします。

営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。



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