早嶋です。
企業の会議に呼ばれ、経営企画の意思決定やM&Aのセカンドアドバイス等を依頼されることが多い。また、取締役が進めている新規の取組などに対しても助言をする機会がある。その中で感じることは、個人として話をする場合は、物事がサクサク進むのに対して、2人以上の組織になった瞬間に日本人は議論が停滞することだ。議論に対しての考え方や会議の進行の仕方が影響しているのではないかと思う。
まず会議の進行についてだ。議論が活発で意思決定が明確な組織は議長が機能している。議長は効率的あん議論の進行と意思決定の術を理解している。議長は会議の目標を設定(あるいは確認)し、議論を脱線させず、最終的な結論や次のアクションを明確にする責任を持つ。対象的に、結論が出ないダラダラ会議の組織は、議長は司会進行に過ぎない。そのため具体的な結論が引き出されることが少ない傾向がある。司会進行型の組織は、大いに会議中の対立や普段の衝突を過度に恐れ、調和を優先する傾向にあるのだ。
会議の構造も差異がある。議論を通じて意思決定が行える組織は、会議に効率性を重視する。事前に準備された議題をベースに、効率的な議論が行われ、結論が導かれる。会議の時間もかなり守られ、賛成と反対などの対立を常に良しとして歓迎する。議長はその対立を引き出しながらも、建設的な議論を促進する。そのため、最終的に意思決定した後、いわゆる「後出しジャンケン」は発生しない。一方、芳しくない組織は、参加者が全体の調和を優先するあまり、対立を避ける傾向が強い。対立を悪しと考えている。そのため、議論が表面的なものにとどまり、結果として結論が出ないまま終了することが多いのだ 。
多様な意見の衝突は、実は賛成や反対の立場をより深く再考する機会を与え、その取組を行なう家庭で新たなアイデアが創発することも多々ある。このような議論を経験した組織は、徐々にそれが当たり前になり文化として染み付く。そして、会議の中では喧々諤々腹を割って話し、会議室を出たら、決まった内容にフォーカスして仕事をするので、後腐れもないのだ。だが、そのような経験が少ない議長や組織は、まさに「空気を読む」ことを重視し、対立をオブラートに包み議論を始めないのだ。
結果を求める組織は、会議の終わりに具体的な結論やアクションアイテムを明示する。議論ではなく形式的な会議が多い組織は何も決まらないまま、あるいは何も議論しないまま時間ばかりを費やし、議題を持ち越す中で自然消滅することが観察される。
整理すると、議論が活発な組織は、会議が効率的に進行し、議論が活発で建設的なものとなりやすい。一方、出来ない組織は、調和を重んじすぎる傾向が議論の深まりを阻害しているのだ。議長は進行役でなく、いわゆるファシリテーターとしての機能を高め、議論の活性化を図ると共に効率と後腐れのない議論ができるようになれば、将来の会議体の質がグンと向上するのだ。