非営利組織の成果

2008年6月27日 金曜日

早嶋です。

NPO本日は、ドラッカー学会の九州支部の勉強会でした。最近のテーマは、「非営利組織の経営」です。会員の方には多くの非営利組織の方々が参加されているため、実際の経験や情報を交換でき大変勉強になります。以下、ドラッカーの著書、「非営利組織の経営」で本日議論が行われた引用部です。

—-以下、全て引用—–
非営利組織といえども、成果を上げるためにはプランが必要である。プランはミッションからスタートする。ミッションからスタートしなければいかなる成果もあげられない。ミッションが、あがるべき成果を規定する。

関係者全員の視点を長期の目標に合わせないかぎり、指示も信頼も敬意も得られない。

非営利組織たるものは、貢献という見地から自らの目標を設定しなければならない。そして、常にそれらの目標をより高次元のものにしていかなければならない。さもなければ、得られる成果は急速に小さくなっていく。

非営利組織は内部志向になりがちである。あまり大儀にコミットし、正しいことを行っていると信じるがゆえに、組織自体を目的と錯覚する。それでは単なる官僚主義である。「ミッションに貢献するか」を考えずに、「内規に合っているか」を考える。結果、成果は損なわれビジョンも献身も見失われる。

すべてを成果からスタートし、インサイド・アウトでなくアウトサイド・インで考えなければならない。

重要なことは、組織構造を階層ではなく、情報とコミュニケーションを中心に組み立てることである。非営利組織では組織内の全員が情報に関わる責任を果たさなければならない。

権限の委譲を意味あるものにするには簡単なルールが必要である。委譲した権限の内容、目標、期限を明確にしなければならない。委譲した者と委譲された者の間に期待と責任についての理解がなければならない。

中央の組織で働く者は、「自分たちの仕事は全体のための基準を設定しつつ、支部に奉仕することである。彼らが実際の仕事をする。自分たちは彼らのボスなのではない、彼らの拠り所である」といえなければならない。他方、支部に働く者は、「われわれが組織を代表する。われわれが何をいかに行うかは、全体の行動として見られる」といえなければならない。

非営利組織に働く者、特にその幹部は、頻繁に外へ出なければならない。組織の内部に成果はない。そこにはコストしかない。ところが人は容易に内部に投入し、外部の実現から遊離する。したがって非営利組織が成果をあげるには、組織の人間が外へ出る機会を何度でも持たせなければならない。

最期に、人を長期にわたってスタッフ部門に配置してはならない。現場とローテーションさせなければならない。数年ごとに将校を部隊に戻すことは、昔からの軍の知恵である。

意志決定にはリスクが伴う。優れた意思決定には時間と思考が必要とされる。だからこそ余計な決定はしてはならない。

重要な意思決定はリスクを伴う。当然意見の対立があるはずである。最初から全員が賛成ということは、誰も何も考えてきていないことを意味する。何についての意思決定であるかを知るためにも、反対意見が必要である。全員一致で決めたのでは、問題の本質ではなくうわべの現象で決めたことになる。まさに、建設的な反対意見がもとめられている。

意見の違いがあるときには誰が正しいかを考えてはならないとした。何が正しいかさえ考えてはならないとした。全員の答えが正しいと考えるべきである。ただし、違う問題に対してである。全員が違う現実を見ている。

決定はいつでも撤回できるようにしておかなければならない。そのためには、二つのことが必要になる。第一に代替案を用意しておくことである。第二に撤回の責任者を決めておくことである。こうして、責任追及に時間をとられないようにしておかなければならない。

非営利組織の最大の弱みは、自らの無謬性への確信が強いことにある。企業では間違いはいくらでもあることを知っている。ところが、非営利組織ではなぜか間違いが許されない。



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