新規事業の旅133 台湾事業その3再び物価

2024年8月2日 金曜日

早嶋です。(約1400文字)

台湾のコンビニやスーパーでは、日本製の食品や薬品、家庭用品が沢山そのまま販売されている。そして値段はどこも日本人からみると割高に感じる。背景は輸入コスト、関税、規模の経済がある。台湾は多くの製品を輸入に依存する。その中でも日本製は高品質と見なされ、輸入コストをかけて販売される。さらに関税も追加されている。従い街中の日本製の商品が割高で販売される。

経済学に規模の経済の概念がある。少量生産よりも大量に生産することで1つあたりの生産コストを下げる効果だ。日本のコンビニエンスチェーンは非常に大きなネットワークを構築して、スケールメリットを最大に活用した事業を展開している。一方、台湾の小売チェーンはその規模に達することが出来ず、スケールメリットを提供することが出来ていない。

更に、特定の商品を消費する傾向も文化として観察できる。一度良いとされる商品にであうと繰り返し利用する、結果的に特定の商品に対しての高い需要が発生する。特に日本製のお菓子や玩具、家電は高品質でプレミアムの価格が付けられても消費が鈍らないのだ。台湾から観光客が押し寄せて、日本製品を爆買いする様子が一時期観察された。2024年は日本の為替の影響も重なり、すべての商品が大バーゲンであり、こぞって買い物したくなる気持ちも良く理解できるのだ。

では具体的な価格の違いを見てみよう。例えばお菓子だ。日本でキットカットを購入する。コンビニでも150円から200円で購入できるだろう。台湾では、約60台湾ドルなので300円近くになる。おにぎりは国内で100円から150円。台湾では40台湾ドルから60台湾ドルなので200円から300円だ。トイザらスで見たレゴセットは台湾で、1,000台湾ドルから1,500台湾ドルだ。同様の商品は日本だと3,000円から5,000円程度だ。

2023年時点、台湾の人口は2350万人。国土は36,000km2。面積は急羽州全体とほぼ同じ大きさだ。九州の面積に2倍の2350万人が暮らして一つの国家を形成している。産業の多くは、半導体やITに傾倒して、不足する食料や製品は輸入に頼る。付加価値の高い産業を育成して、そこで得た益を輸入に当てている。そう考えると実に合理的な国だと言える。

日本は、製造品の中で薬や一般家庭商品や食品は多くのポテンシャルを持っており、その品質は、同様の競合と比較して恐ろしく高いレベルだと思う。ソニーやパナソニックなどの家電メーカーはこぞって世界に進出している。しかし日本の食品メーカーは、国内にこもっており、外貨を稼ぐことを余り行っていない。

台湾で現地で工場を持って展開している企業はビールメーカーのアサヒやキリンぐらいだ。他の食品メーカーは現地に工場を進出せずにせっせと日本から輸出している。国内の人口規模や産業規模を鑑みると以前の電機メーカーのように海外に進出すると良いと感じる。

ジャパンクオリテイは食品にこそ注目が集まるのではないか。その品質を現地で再生して価格で勝負する。その際のきめ細かい品質管理は実は日本のお家芸とも言えるのではないか。ハングリーな食品メーカーが進出して、もっと展開しても良いのではと考えてしまった。

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