新規事業の旅125 高尚なパーパスの落とし穴

2024年7月13日 土曜日

早嶋です。

スタートアップでも既存事業でも、優秀な人材、特に若手人材を欲しいところだろう。そのような企業は高尚過ぎるぐらいのパーパスを設定しているが、結論から言えば、優秀な若手には響かないのだ。

For start-up seeking talent, a lofty purpose can backfire; by Murat Tarakci によると、応募者はバリューフィットよりも自信のキャリアアップのチャンスに重きを置いているのだ。新規事業周りの採用やスタートアップ周りの人事と仕事をしている中での肌感覚とも合致する。

「世界をより良い場所にしたい!」「●●な社会課題を解決する!」と言っても実際のスタートアップや新規事業の現場は超過酷だ。カオスだ。大変だ。市場や技術が不確実な中、かなり長い時間働く。それでも仕事をしたい人の理由は、あり得ない見返りか、そこで得られる自信の成長だ。綺麗事としてはバリューフィットと言いたいところだが、現実はやっぱり想像通りなのだ。

端的な話、スタートアップや新規事業での募集の際に、社会的な指名をあまりにも強調すると、候補者からは成長が遅く、しばらく成功する可能性が限られているな。と判断されるのだ。当然に、キャリアの機会や迅速な経済リターンを求める求職者からすると魅力が半減する。また、社会の訴求をためすぎると、個人の動機や欲求を脇に置くような企業と認識される可能性もあるのだ。

もちろん既存のキャッシュカウの事業を行っている企業はビジョンを謳うことはプラスだ。既に多くの従業員が働き、既に認知がある。一定の働きがいがある企業と捉えられ、一定の余裕があり、競争力や福利厚生が充実しているという印象を与えることだろう。

この論文は、事業会社が新規事業の人材に特化した場合に朗報だ。給与と成長機会をベースに、人材を探すというシンプルなルールが見えてくるからだ。

(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。

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