組織開発の中でポジティブな組織づくり

2024年7月4日 木曜日

安藤です(公認心理師・Well-beingコーチ・1級キャリアコンサルティングとして活動中)

今回は、「組織開発の中でポジティブな組織づくり」についてです。

AI(アプリシエイティブインクワイアリー)をご存じでしょうか。

AI(アプリシエイティブインクワイアリー)とは、問いかけることで価値を見出したり強みを発見したりしながら、ポジティブに問題を解決する方法です。 これまで、多くの企業で採用されていた問題解決方法は、まず「できないこと」に注目するものでした。アブリシエイティブピンクワイアリーは、この考え方とは異なるアプローチで問題解決に導く方法です。

心理療法も、今まで原因に焦点をあててカウンセリング・コーチングを行っていたのが、昨今は、ポジティブ心理学を活用し、時間軸でいうと過去ではなく、“未来” にむけてどうしていったら個人も組織も“Well-being” になっていくかということを対話していっています。

もう少し詳しく説明をすると、AI(アプリシエイティブインクワイアリー)は、アメリカの大学教授であるデービッド・クーパーライダー氏と、国際NPO団体のひとつであるタオス・インスティテュートのダイアナ・ホイットニー氏が1987年に提唱した組織開発手法です。 アプリシエイティブ(Appreciative)は、「価値を見出す・認める」という意味を持ち、インクワイアリー(Inquiry)には「問いかける・質問する」などの意味があります。

もう少し、従来の組織開発手法との相違点についてお話をします。従来の組織開発手法は、課題に対して解決策を編み出すためのアプローチを取っていくやり方を指します。具体的には、まず、今起こっている課題や問題を特定し、原因を分析します。その後、課題や問題に対する解決策を考えるという流れで進めていきます。課題や問題が、弱みに起因している点が特徴です。

これに対し、AI (アプリシエイティブインクワイアリー)は 最初に強みや良い部分を明確にし、可能性をさらに活かす方法を模索します。ポジティブな視点で探求することで成功要因を見つけ出し、成果が上がるよう理想の状態に向けて計画を実行していく点が、組織開発手法と大きく異なるといわれています。

問題解決型アプローチとポジティブ・アプローチのやり方は、下記の通りです。

問題解決型アプローチは、問題を特定→原因分析→可能な解決方法を分析→アクション・プランニング
ポジティブ・アプローチは、本来の最高の価値を発見 → ありうる最高の状況をビジョニング → 「どうあるべきか」を対話する(そこに創造性のあるコミュニケーションが発生する)→ 「どうなっていくか」を革新する

*「ビジョニング」とは? 「その企業や団体が『どんな未来を信じているか』という独自のビジョンを掲げ、その世界を実現するために一気通貫しての行う活動の蓄積を『ビジョニング』と定義しています。

AI(アプリシエイティブインクワイアリー)が、昨今、注目を浴びているのは、VUCA時代 (Volatility(変動性) Uncertainty(不確実性) Complexity(複雑性) Ambiguity(曖昧性))が背景にあります。

社会情勢が不確実かつ不透明な現代で組織を成長させるには、個人を “資本” として捉え、「個人と組織」の共生が必然であり、 個人の能力・スキルを成長させる手法として活用してみられたらいかがでしょうか。



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