CSから新しいサービスを生み出す

2024年6月6日 木曜日

高橋です。

私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。

今月のテーマは「CSから新しいサービスを生み出す」です。CS(顧客満足)はどの企業でも重要だと考え、日々取り組んでおられます。今回はそのCSお客様満足から新規ビジネスのヒントを得られた事例を取り上げます。

さて、改めてCSについて確認です。CS(Customer Satisfaction)は、顧客満足と言い、いかにお客様に喜んでいただきご満足いただくか、そのために何ができるのか考え、実践していくことですね。最近は民間企業だけではなく、自治体(役所)や公共機関でもよく研修をさせていただいています。

お客様は事前期待を持って我々の商品やサービスを購入いただきます。その際に、利用実感が事前期待通りだと「普通」、利用実感が事前期待を下回ると「なんだ、この程度か…」と「不満」となります。利用実感が事前期待を上回って「やっぱり良い!」となれば「満足」いただけます。これはリチャード・オリバーの期待不確認モデルとして有名です。

お客様の事前期待も利用実感も人それぞれです。ご満足いただける基準は様々である点が難しいですね。そこで提供側としては、お客様が求めておられるモノをきちんと把握し、そのニーズにあったモノを提供することを心掛けなければなりません。

昨今、価値観の多様化や成熟した社会におけるニーズの複雑化など、お客様のニーズをくみ取るのは至難の業です。時には「無理難題を突き付けてくるお客様」や「場違いで本来ではありえないであろう要望をされるお客様」もいらっしゃいます。元々悪意のある場合を除き、それらのご要望を「お客様がおかしい」、「お客様が間違っている」と処理してしまっては新しいモノは何も生み出されません。お客様の「ムリな」要望(と我々が思っている)の受け止め方次第で、新しい商品サービス誕生のヒントになりえます。

ここからは事例ですが、私が以前在籍した保険会社では、世界初のサービスをお客様のご要望を基に発明しました。

それはリビングニーズ特約と言うオプションです。保険金は亡くなってから遺族に支払われるのが当たり前だった当時、ある末期がんのお客様からこのような要望をいただきました。「自分は尊厳のある死に方をしたい」。つまり生前に借金や医療費をすっかり完済して、安らかに亡くなりたい、そのために生前に保険金を受け取りたいとの要望でした。それまでの保険会社の常識では亡くなってもいないのに保険金を支払うなんて考えられなかったでしょう。しかし会社はお客様の要望を真剣に受け止め、検討し、いずれ支払うお金なら先に払おうと決めました。これが世界初の生前支払サービス「リビングニーズ特約」の誕生経緯です。今ではどこの保険会社でも付いている特約です。
ひとつの事例ではありますが、お客様からの(ムリな)要望から新たな商品サービスを生み出した例です。

お客様からいただく要望を「そんなバカなこと、できないよ」と受けると何も変わりません。しかし、お客様の立場に立ってどうすれば顧客満足を高められるか真剣に考えると、新たな商品サービスが生まれる、つまりビジネスチャンスにつながると言えます。

お客様からの要望(もしくはクレーム)は宝の山とも言いますが、お客様の声やCSの観点から何か新たなビジネスチャンスがないか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

次回はCSのさらに上、CXについてご紹介いたします。今、企業はCXで競っているという話です。

営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。



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