早嶋です。
KAIL20周年記念の際の講演をベースに書き起こしました。ジャパネットタカタは創業者が65歳の時に、35歳の現社長が継承。創業者は完全に引退すべく、息子には自由に進めるように進言し、2代目は実際に相談せずに事業を進めている。現社長の役員経由で父から「本当に相談しないね」と言われた逸話もある。
現在のジャパネットタカタはスポーツと地域創生で事業を展開するミッションを掲げている。主力の通販事業は「見つける」「磨く」「伝える」というコンセプトに整理して、ほぼほぼ内製化して事業を進める。スポーツ地域創生はヴァーレン長崎を傘下にしたことをきっかけにスタジアムを中心としたまちづくりを行っている。
イベントを中心とした場合、平日の閑散が課題になるが、長崎の立地条件を巧みに活用して修学旅行を通年受け入れる施設として営業を開始している。更に、様々な取り組みも行い平準化をすすめる。オフィスは現時点(24年5月末)で9割が埋まり、商業施設は8割が決めっている。ここは不動産収入が確実に入ることから、残りはその収益を高めるための仕掛けを作ることになる。
通販事業は、従来のビックハイアからリトルハイアにフォーカスしている。商品点数はこれまでの約8,500点から1割の777点まで絞った。リピートする顧客の問い合わせにカスタマーサクセスが応えることができやすくなり、自前の修理部隊の効率等も劇的に上がった。「磨く」ことで「伝える」がしやすくなり顧客のリテンションにもつながっているのだ。
ハウスカードは現在85万人で、年に850万人の取引が行われている。また頒布会、いわゆるサブスク会員も15万人存在する。「見るける」を軸に、毎月の食材をバイヤーが仕入れ家庭に届けている。ここに対してもカタログを軸に4,200名(社員1,200名)のコールセンターできめ細かいフォローとサービスを提供している。もちろん物流も自部門で抱え、購買後のフォローを徹底しているのだ。
2代目の社長は、様々な取り組みを「やってみよう」という感じで高速でPDCAを回して実験し事業化している。長崎の地域開発にも、超VIP向けの会員制レストランを導入している。地方では成り立たないという謎のルールをことごとく破壊して創造しているのだ。
ジャパネットタカタは従業員の半数は女性で平均37歳。特徴は若手でも実力があれば大抜擢される人事だ。現在300人のマネジメント層がいるが、チャレンジして今の立場になっている若手も多い。当然、一部(8%)は昇格もあるが、その方々は腐ることなく、またチャレンジする工夫がある。
例えば、1泊2日の社員(全マネジメント)旅行では、人事と社長が人事テストの理解度テストを全マネジメントに受けさせて上位を入賞するなどの遊び心がある。グループ会社15社のマネジメントが福利厚生や会社の仕組みを理解して、従業員のフォローができるように考えた取り組みで好例となっている。マネジメントであっても16連休を必須にすることで、仕事を個人に貼り付けさせない工夫がある。
会議なども、9時から10時、14時から15時、18時以降は禁止にしている。残業はもちろん、定時内に会議を禁止させることで、考える仕事や作業に追われないように余裕をもたせ、不足する時間を効率的に取り組む社風を生み出している。