新規事業の旅107 エクイティにおけるインセンティブ

2024年4月25日 木曜日

早嶋です。

企業勤めのインセンティブの代表がボーナスだ。特徴は、一定の成果に対して事後的に金額がきまる。それも自分の上司が評価を決める。一方で、ベンチャー企業におけるストックオプションは、事前に付与された比率によって決まる。そして、その金額は実際の時価総額の上昇幅によって変化する。つまり完全に結果重視だ。

ストップオプションの評価は、従来の事業会社の評価と全く異なるメカニズムだ。上司の評価は全く関係ない。ストックオプションを持たない社員はただのりしても、評価を得られないのでそもそも存在しない。事業会社であれば、ボーナスの原資を一定、実際に仕事をしていない従業員にも分配しなければならず、フリーライドする人材が確実に一定数存在する。ボーナスの査定は常に上司に委ねる部分がある。そのため顔色を伺うことを確実に行ってしまう。属する部門の成績によって、ボーナスの原資配分が決まるので、他の事業部の取組などは全く忘れて、全社の限られた事業の限られた部分での成果を追い求めてします。ボーナスの評価は四半期の成績を積み上げるもので、長期思考には絶対なり得ない。

一方、ストックオプションは異なる。既存の事業と異なり、目先の利益ばかりを追求しない。評価は5年程度先の事業価値を上げることによってしか得られないからだ。短期的なキャッシュインのために動いても価値は向上しない。継続的な先を見据えた取り組みに必然とフォーカスされる。不安定なベンチャーの事業モデルは、場合によってどんどん変えていく必要がある。組織は暫定で、異なる組織であっても、長期的に全体最適で成果が出る仕組みを追求する。限られた部門の成果に見合う歩合を払うボーナスとは異なり、同じ成果でも長期的な活動にコミットさせるのがエクイティ連動の評価制度になるのだ。

言われなくても、上司が見ていようが見ていまいが関係なく行動する。既存の事業とは異なり、どの仕事が、どの程度影響するかは、誰もわからない。結果、数年経過しなければ正解は無いのだ。そのような状況で試行錯誤して動くには、ストックオプションは極めて合理的だと思う。

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