早嶋です。
マーケティングにおける哲学は、徹底的に一貫性を持たせることだと思う。SDGsが流行っているので自社もその取り組みの波に乗る。国連本部が販売するSDGsバッチを10個セット$35で購入して社員がつける。悪くはないが、それはマーケティングではない。
自社が戦略として打ち出したポジションを実現するために、自社の顧客に対して徹底的に4P を検討して提供する。その中で、試行錯誤をしながらチューニングを施す。SDGsそのものはすごく重要で、持続可能な社会を構築するために企業も持続する必要がある。企業が提供する製品やサービスによって社会が回る側面が多々あるからだ。
ハリウッドスターであるレオナルド・ディカプリオも出資するシャンパーニューメゾンのテルモンは、マーケティングを体現する企業の一つだ。1912年に創業で「母なる自然の名のもとに」をメゾンのモットーに掲げ、オーガニック農法や二酸化炭素排出量の削減などを徹底したブドウ畑を守りながらも、トレーサブルなシャンパーニューを提供している。
テルモンが所有するブドウ畑は22ヘクタール(東京ドーム5個分)で、ブドウ畑とその周辺の生態系と環境保護に配慮している。2022年には、ぶどう畑の約8割に対してオーガニック認証を得ている。シャンパーニュの製法は創業時から受け継がれ伝統的な手作業で行われている。
テロワールは伝統的な少量生産のアルチザンに加えて、サステナビリティにも力を注ぐ。テルモンのエチケットには、トレーサビリティの証明がされ、ボトルナンバーからボトリング年、糖分量、ブドウ品種、ビンテージ、製法、メゾンのマニュフェストまでが明記されている。このように情報を開示しているシャンパーニューは他にないのだ。
更に徹底している。テルモンは一般的な限定ギフトボックスがない。その理由はすぐに廃棄させられるものだからだと言う。ボックスを廃止することで、無駄な二酸化炭素の排出を減らすことができるので実行している。また、テルモンのボトルにもこだわりがある。リサイクルガラスを使用しているのだ。ロゼワインなど、色を確認する必要のあるガラスも今後リサイクル可能なグリーンボトルにシフトする。ワインの輸送も海運のみにし、すべてにおいて一貫したこだわりを持ち合わせている。