新規事業の旅82 バックキャスティング

2023年10月26日 木曜日

早嶋です。

2024年問題。企業の中で様々な動きがあるなか、ユニ・チャームは商品の包装を更に工夫することで輸送効率を高める取り組みをしている。26日の日経新聞によると、大人用の紙おむつで、従来よりもパッケージの幅を12から13%圧縮したという。この改善でトラックで運搬する場合、搬出できる商品の従来比で1割以上増やすことができる。

おむつは不織布とウエストのゴム、それらを接着する接着剤で構成される。今回の小型化には、超音波を使って熱を発生させ接着剤を使わずに不織布とゴムを接着する技術を新たに採用したという。

この取り組みは、欧州で進められている循環型経済に対しての準備にもなると筆者は考える。欧州では2030年に向けて多くの商品(プラ、アルミ、ガラス等の商品や容器など)の完全循環を目指すという方針だ。接着剤などは、リサイクルする際の分別や回収が非常に手間になるので、ここの見直しを5年以上先をめがけて企業は取り組む必要があると思う。さもなければ欧州で売ることができないからだ。

ユニ・チャームが2024年問題を重視して取り組んだのか、そのさきの2030年の循環型経済を考えて取り組んだかは不明だが、企業として5年10年で世の中を予測してそのヘッジをしていることは間違いない。そんなに簡単に実現できる技術では無いからだ。考えて見ると、運送の問題で2024年問題などと言われているが、マクロ状況を見ていて少し先に労働人口が減ることは誰でもわかることだ。

このような手法はバックキャスティングと言われ、確実に起こりうる将来や可能性を考えて、今から手を打つ取り組みや手法だ。が、世の中、そんなにお利口さんではなく、目の前の仕事に追われていて時間が来ればなんとななると思っている思考がまん延しているようにも感じる。M&Aの世界でも跡継ぎ問題、後継者問題と称されるが、なんてことはない。経営者の想像力の欠如で、20年先の出口戦略を考えずに準備をしていないだけなのだ。

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