フクシマ。2011年3月11日以来、表記が漢字からカタカナに変わる。東京電力はメルトダウンの事実を早い段階から認知していたにも関わらず隠蔽し、結果、初動が遅れた事実がある。フクシマの影響は自然災害ではなく人災と言われる所以だ。
ただその後の復興、廃炉に向けては真摯に取り組んでいると思う。当時から10年後の処理水放出計画は、科学的知見を軸に情報公開を行いながら国際的なルールに乗っ取り着実にすすめている。原子力を活用してエネルギーを使用する国々にとって対岸の火事ではない。「数十年後の廃炉をどのようにすすめるのか?」「仮に惨事があった場合の対処をどのように進めるか?」あってはならない事故ではあるが、生のベンチマークであることは間違いない。
国際原子力機関(IAEA)と日本は共同で作業を行い、IAEAチームは原子力の安全要素を審査し、放射線レベルを評価。加盟国や一般市民に対しても日々情報を公開した。12年、事故後も継続したのだ。その取組の結果、IAEAは報告書で、ALPS(多核種除去設備)処理水放出に対する日本のアプローチと活動は、関連する国際基準に合致すると結論づけた。
ここに当然の如く反論する一派がいる。おそらく一定の偽情報を活用し経済的な威圧を介して政治利用を追求する国。日本からの水産物の輸入を全面的に停止し他国に対して日本を孤立させる取組だ。その一派はフクシマ処理水の細やかな対応と対局で、鳥インフルエンザ、SARS、新型コロナウイルスなど、自国を起源とした公衆衛生問題をひた隠し常に無かったことにしようとしている。
What ifではないが、その国が日本と同様に情報を開示し、世界に対してオープンで、国際協調を取っていれば多大なる被害をもたらした経済損失と人命が救われていた可能性は高い。が、その可能性は無く、常に透明性、説明責任、国際社会としての情報共有をする姿勢が見られない。同国にも4基の原発からトリチウムを定期的に放出し、排出濃度は今回放出する処理水の5倍以上の数値だ。更に、放出にあたり自国の基準のみで国際的な科学調査は行われず、協議や通知も無い。
漢民族が自国を世界の中心に置き、それ以外の国を属国とみなす。文化程度が低く卑しい国と軽蔑する。思想自体は非常に古い時代のもので歴史を見ると良く表現されるが、その考えや文化が確実に残っているとしか思えない。
ただ、ここで対立を生んでも仕方がない。今の日本に取って、そのような国とトップ同士がコミュニケーションを取る主題が無いことが最大のリスクだ。長期的な世界の共存反映を考えた場合、このパイプラインの開発を国として優先順位高くして進めるべきだ。