早嶋です。
経営で重要な能力は概念化です。理念やパーパスをうたったところで具体的なイメージが無いトップの下では組織は動けません。
こんな企業があります。新規事業は行わないといけない。だけど、何をするかわからない。そこでその仕組を若手社員に委ねる。なんとなく良さそうな雰囲気ですが、はっきり言って現経営陣は、早く誰かに変わった方が良いと思います。若手が自由に創発してそのアイデアを受け入れてくれれば良いでしょうが、そのような企業の多くは発案をマネジメントで潰して終了です。そしてその歴史が結局、誰もアイデアを出さない文化に染め上げたのです。そこに気が付けないのも悲しいことです。
こんな企業もあります。マクロ分析を行い、ミクロの分析を行い、やはり現業が陰り、このままでは将来が危ない。と。本来は、この先に、自社が将来的に縮小していく根本的な原因を突き詰め、そこに対しての打ち手を考えるべきですが、そこまではしないで思考停止。そして、現場に数字の積み上げを求め、その数字を足して本社の意思として計画を立てて終わり。事業が成長している時期であれば現場は数字を増加して積み上げるでしょうが、このような時期に現場は頑張ってもステイです。ということは、当たり前ですが全体の積み上げは減少です。
ある企業は、人材が重要だなどと言っています。人材が重要であれば将来の仕事を死ぬ気で考え、そこに向けて責任を持って舵を切るのが経営陣の仕事ですが、それが出来ないのです。どうしてなのでしょうね?
本来、経営陣であれば、「なんとなく、あるいは明確にこの方向性に向かうべき?」という感触は持っています。しかし、長年経営の現場で議論が行われていない。昨今の人事で外部からの人間が増えたり、社外取が出入りすると、その場でも議論が出来なくなってしまっています。議論になれていない人材は、出入りする人物そのものを見るのではなく、その人の過去の肩書で発言や言動を変えてしまうからです。
そうこうするうちに、互いの信頼関係が構築できていな経営陣が増加していると思います。そのため、自由に発言することをためらってしまい。「何を言ったか?」よりも「誰が言ったか?」を気にするしょうもないオジサン、オバサンの集まりになってしまったのです。そのため、そのような建設的な議論が全く行われないまま、ただただ状況が悪くなるのを見過ごしているかのうようなのです。
半日でも良いです。まずは、トップが主体となって、会社の経営を決める重要なメンバを数名から10名程度集めて、「互いが先の会社をどうしたいのか?」「今の現状はどうなっているのか?」を議論しましょう。そしてそれが出来ないのであれば、「互いが今、なんでこの仕事をするようになったのか?」「過去、どのような取り組みで苦しんだのか?」「残りの人生をどのように過ごしたいのか?」「今後の経営にどの程度の覚悟を持って望んでいるのか?」という本来は経営チームで毎日のように議論すべき一人一人の内側の部分を吐き出させるのです。
そう、所謂経営メンバのチームビルディングを徹底的に行うことで、発言者ではなく発言の内容にフォーカスができる雰囲気が養生されていきます。経営者は辛い仕事の一方で、天狗になる部分もあると思います。しかし不安定な時代は過去の取組は参考にできにくいです。そのため役割や立場に関係なく互いの発言を許し、互いに参考にし合うチームが必要なのです。皆が顔を見て発言内容を変えるような状態であれば即交代すべきなのです。
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり