早嶋です。
コンサルタントの話を聞いていると、「その理由は3つあります。・・・」などと3という数字が良く登場します。また、コーチングを受けている時にも、「そのお話に関して具体的な事例を3つ上げてください。・・・」などとコンサルタントやコーチは「3つ」がお好きのようです。何か理由があるのでしょうか?
その理由を3つ考えました。1つ目はMECEに表現するときに収まり具合が良い数字だから、2つ目は聞いている側が納得しやすい数字だから、3つ目は3自体が安定する数字だから、です。
1つ目です。MECEとはある事象を考える際にモレなくダブりなく考えるという概念です。分けるという意味で2つにした場合、全体の一部とそれ以外となる事が多く、MECEにならない場合があります。例えば、物事を白と黒に分けても、必ずグレーな部分が存在して、白黒はっきりすることは難しいですよね。当然、男性と女性、プラスとマイナスのように背反するものは該当しませんが。その点、3つに分けるとMECEになる事が多いのです。また、4つ以上だとダブる場合が出てきます。ただし、3つが収まり具合が良いという明確な根拠は無いと思います
2つ目です。人間は短時間で記憶する容量は3つ程度という前提です。2つのポイントでは情報量が少ないと感じ、4つ以上では思い出せなくなるかもしれません。その点、3つはしっくり来るのです。自給自足の生活を続けてきたオーストラリアの原住民、アボリジニーの言葉には、4つ以上の数字は全てジュタとなります。ジュタは沢山を意味し、蟻が4匹いようが100匹いようがジュタなのです。自給自足が原則であったアボリジニーの人々にとって必要以上の獲物は意味がなく、そのため3つまでのカウントで事足りていたのでしょう。
3つ目です。平面に対して2本の足では支えが効きませんが3本の足では支えが効きます、これは平面図形が3個の点があって初めて形成できるという特徴です。また、普段の生活は3次元の空間からなっています。更に、3はフェルマー素数の最小数です(nがフェルマー素数なら正n角形をコンパスと定規だけで作図できます)。このように3という数字は最も安定する数字なのではないでしょうか?
考えて見ると世の中には3という数字が多数存在します。国の三権分立。色や光の三原色。相撲の心・技・体。スポーツの走・攻・守。キリスト教の三位一体。三大祭り、日本三景、徳川御三家なども3でくくられています。
日本のことわざでも反復や持続を表すのに3を用いているのが多くあります。「仏の顔も三度まで」「三日坊主」「三日天下」「三度目の正直」「石の上にも三年」。
ビジネスにおけるフレームワークにも3は沢山でてきます。代表的な3C(customer:市場、competitor:競合、company:自社)やPDS(Plan、Do、See)、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)もそうですね。物事を相手に分かり易く伝える方法に、「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」といったコンプリート・メッセージがありますがこれも3つです。行動を起こすためのグローモデルも「Where(ビジョン)」「Now(現状分析)」「How(具体策)」も3つです。
専らコンサルタントが「・・・・が3つあります!」と宣言するのは、相手の興味を引いてもらうための作戦という考え方も出来ますが、何かを考える場合、3を基準にするのはいかがでしょうか?