早嶋です。
M&Aという言葉や概念は11年前、一般財団法人M&Aアドバイザー協会を設立してから随分と世の中に浸透していると思います。そして最近は、シリアルアントレプレナーをイメージし、売り手の立場として会社そのものを商品として売却する仕掛けを意図的に作っている経営者も増えています。これに関しては良いとか悪いとかはなく、その戦略なので間違っては無いと思います。
ただ、シリアルアントレプレナーを目指すのであれば、はじめの一件は是非フルコミットしてもらいたいところです。どんなに優れた事業モデルでも現時点で赤字で、かつ経営者がパートタイムで事業を行っているような取り組みは、どんなに御託を並べられても時価総額のイメージがピンと来ません。それは売り手の都合であり、買い手の意思を無視しています。
更に、そこに対してM&Aでバイアウトしたいのであれば尚更です。IPOはたしかに将来の可能性に対してある程度価値を評価するでしょう。しかし中小企業のM&Aにおいては、今の利益が重要で、過去からの取り組みで何をしたのかがなければ将来の推定もできません。ですので社歴が1年ポッチの会社で赤字であれば、仮に優れた仕組みを持っていたとしても、相当の経営者でなければ買収する気持ちにななれないと思います。
企業のベースは、その企業を起こす大義名分で、経営者は本気でその大義名分を達成する気持ちで行動し続けるものです。その結果、企業の収益がついてくる。それを志がなく、売却が目的ですよってな会社は、従業員にも、顧客にも、取引先にも申し訳ないと私は思います。あくまでも一部の特定のシリアルアントレプレナーを目指している方に向けてのメッセージで、他の経営者や成果を残しているシリアルアントレプレナーに対しては社会に価値を提供し続けているので立派だと思います。