安藤です。
以前には、「ダイバーシティとインクルージョン」について、とりあげたことがあります。今回は、ダイバーシティ経営について整理してみました。ダイバーシティ経営とは、「人の多様性を受け入れ、活かすことで、組織の成長や活性化、 企業価値の向上を図ること」を指しています。日本のダイバーシティ経営は、これまで、女性や外国人、障がい者、LGBT、育児・介護中の社員など、組織の中のマイノリティに焦点を当てることが多く、働きやすさや、働きがいを提供する施策を中心に進められてきました。
「組織を取り巻く環境変化」としては2つの視点があります。1つは、「職場や組織を取り巻く環境」、2つめは個人です。更に1つには、①変動的・不確実・複雑・曖昧(VUCA) ②環境・状況・技術・の変化が速い ③多様な価値観・ 経験・働き方(多様性)があります。2つめの個人には、①変動・不確実・複雑・曖昧(VUCA) ②経験やスキルの陳腐化が速い ③個人内の多様性があるといわれています。しかし、変動要素が多くて決めるのが難しく、正解もなく誰も答えを持っていません。
経済産業省では、一歩先の競争戦略として「ダイバーシティ経営」を促進しています。そこで、「何のためのダイバーシティか」・「ダイバーシティ経営の効果」について記しておきます。
何のためのダイバーシティかという点に関しては、「①競争環境のグローバル化を始めとする市場環境の変化は、 企業経営に対して、経営上の不確実性を増大させるとともに、ステークホルダーの多様化をもたらしている。 ② 企業は、多様化する顧客ニーズを捉えてイノベーションを生み出すとともに、差し迫る外部環境の変化に対応するため、女性を含む多様な属性、多様な感性・能力・価値観・経験 などを持った人材を確保し、それぞれが能力を最大限発揮できるようにする「ダイバーシティ 経営」の推進が求められている。そして、ダイバーシティ経営の効果は、①人材獲得力の強化、②リスク管理能力の向上、③取締役会の監督機能の向上、④イノベーション創出の促進などによる、企業価値の向上があげられる。 これらの効果を踏まえ、ダイバーシティを企業の経営戦略にいかに組み込むかが重要。」である。
また、人材獲得力の効果として、ミレニアル世代の人材は就職先を選定する際に、企業の「多様性や受容性の方針を重要視しています。特に女性はこの傾向が顕著です。人材獲得力の強化としては、ダイバーシティ経営を通じた多様性の受容によって得られた恩恵としては、日本企業を含め、多くのグローバル企業が「人材の獲得」や「業績の向上」が挙げられています。
令和元年度経済財政白書のデータでは、企業におけるダイバーシティ経営の取組として実施していることは、 ①柔軟な働き方の実施38.1%、ワークライフバランスの促進30.5%等が上位にとなっています。このように 働き方改革などの取組が進みつつあります。一方で、課題も明確になってきました。
課題には、①政府・社会からの女性の活躍に関する要請を受身的に対応 ②環境への形式的な落とし込み ③成果の実感がないままに取組を継続 ④ダイバーシティの取組の効果を評価(企業経営上のメリットが見えない) ⑤経営課題に紐づけないが挙げられています。