◇スーツの歴史
原田です。
スーツの歴史をかなり適当に語ります。
以下の話は複雑なスーツの歴史をベースに、原田健が勝手に創作した話だととらえてください。まあ、歴史小説も、そんな感じですし。いいではありませんか。
◇スーツの3点セット
ビジネスマンの服のセットは、上下のスーツ、ワイシャツ、ネクタイで構成されます。そのセットの生地は、スーツはウール(羊の毛)、ワイシャツはコットン(植物)、ネクタイはシルク(昆虫の繭)です。
※ポリエステル(化学繊維)も多いです。
◇スーツの前に来ていたもの
昔のヨーロッパ、19世紀ビクトリア朝時代(1837年~1901年)、貴族の正装はシルク(昆虫の繭)の服でした。遠くの地、アジアで取れたシルクが贅沢品でした。シルクは発色が良く、柔らかくオシャレにはうってつけでした。アジアからヨーロッパまで、貴族の見栄を満たすべく、商人たちはせっせとシルクを運んでいました。これがシルクロードというものですね。
ちなみに19世紀ビクトリア朝時代は、みんなで無理してお上品に振舞っていた時代です。テーブルの脚がむきだしで下品だというので、布のカバーをしていたそうです。
そんな時代、貴族たちは仕立て屋で服を作っていました。上着は上着で、ズボンはズボンで、チョッキはチョッキで、服を作っていました。シルクの服で着飾ってパーティをしていました。いっぱい飾りがついて、体をぎゅうぎゅうに締め付けて、動きにくい服です。
◇スーツの原型
長いパーティの間、ずっとシルクの服だときついので、男性たちは、途中で楽な服装に着替えて、別の部屋でくつろいでいました。この別の部屋がダイニングルームです。
このダイニングルームで着ていた楽な服が、ウール(羊の毛)で上下お揃い(同じ仕立て屋)で作った服、つまりスーツ(suit・一揃いの)です。スーツは元々はジャージのような服でした。
まあ、だんだんと形が崩れて、もうスーツが正装でいいんじゃないか、となったのでしょう。少し正確に述べると、この頃、ヨーロッパでは英国の力が強く、英国流のダンディズムが広まったということです。
※諸説あります。
あと、ブリテン諸島にはその辺にごろごろ羊が歩いています(行ったことはないけど)。苦労して昆虫を育てるよりも、その辺を歩いている羊の毛を刈ったほうが早いです。羊なんて毛を、刈っても、刈っても、メェーとしか言いません。羊の毛なんてどんどん生えてきます。放って置けば草まで食べてくれます。とてもエコです。
◇ネクタイの起源とダンディズム
さて、その英国流ダンディズムですが、その原型は、ビクトリア朝よりちょっと前の時代にできました。英国にボウ・ブランメル(1778年~1840年)というおしゃれのカリスマがいました。どいう立場だったのかよくわかりません。軍隊の要職に就いていたようです。まあ、英国上流社会のおしゃれ番長だと思ってください。そのおしゃれ番長が、ウールでできた軍服に、シルクをまとうことを発案しました。これが今のネクタイになります。
※諸説あります。
ボウ・フランメルの提唱したダンディズムをもとに、羊の毛で作った上下一揃いの服と、ネクタイが定番になりました。ちなみにボウ・フランメルの教えとは、「身だしなみが完璧であるためには、俗眼の注意を惹いてはならぬ。」です。とても厳しいのです。
まあ、ここまで大きな流れはざっくり、貴族→紳士、シルク→ウール、装飾美→簡素美だということです。
◇おまけのボタン
スーツの袖にボタンが付いています。これはロシアの女王エカテリーナ2世(1729年~1796年)のエピソードに由来します。ある日、女王は、自国の兵隊が、服の袖で鼻水を拭いているのみたそうです。それが汚らしいので、袖にボタンを付けたということです。この女王のせいで、袖にボタンが付いているのです。
◇社会の理不尽な選択に耐えるということ
夏がきて、みんなクールビズになります。その度に、ネクタイだけでなく、もうスーツ自体を止めませんかと思います。もう羊の毛を着るのはやめましょうということです。高温多湿の日本に羊は住んでいません。でも羊の毛を着た人、羊男は沢山います。メェーとも言えず、社会の理不尽な選択に耐えています。僕もその一人です。