1.コロナ渦で強いマクドナルド
原田です。
コロナ渦の中、外食業界全体が大きな打撃を受けています。しかし、その中でマクドナルドは成長を続けています。
日経MJによると、既存店売上高は、4月まで10ヶ月連続で前年を上回っています。2021年12月期の連結営業利益は、前期比2%増の320億円です。2期連続の最高益を見込みます。
単に数字がいいだけでなく、デリバリーへの対応、アプリの開発、新たなキッチンシステムの開発など、様々な革新的な取組みをしています。
2.マクドナルドが強い理由3つの理由
マクドナルドが、この非常事態に強い理由は、1)明確な戦略と業界地位、2)生真面目な日本風土への適合、3)危機を乗り越えた過去の3つが挙げられます。
まず1)の明確な戦略と業界地位です。マクドナルドは、ハンバーガに特化しています。もちろんロープライスです。そして顧客は、ファミリー層から、学生、ビジネスパーソンまで、幅広く対応しています。飲食業の中で、典型的なコスト集中戦略を実行しています。
業界地位を見ると、マクドナルドは、外食産業の中で、売上は3番目の規模です。1位はゼンショーHDの6,304億円、2位はすかいらーくHDの3,753億円です。マクドナルドは、3位で2,817億円です。しかし、マクドナルドはハンバーガーというカテゴリーに特化しています。幅広い客層が利用できます。特にファミリー層に強いです。一方で、ゼンショーHDは、その柱は牛丼ですが、このカテゴリーは熾烈な競争です。すかいらーくは、ファミリーレストランで、商品のレパートリーが豊富で、扱う食材も多いです。そして両方とも、複数の飲食ブランドを抱えています。
マクドナルドはやることが明確です。まず一番の優先事項はローコストオペレーションの確立です。なので、店舗、製品、人材、IT技術などへ集中して投資ができます。今回も急増するテイクアウト、デリバリー需要へ迅速に対応することができました。さらに生産性の高い新たなキッチンシステムも開発しています。今後、外食産業のDX化が進むなかで、この投資が集中できるというメリットはより大きくなります。
次に、2)の生真面目な日本風土への適応です。特定のカテゴリーに集中して、ローコストオペレーションを確立する戦略は生真面目な日本の風土に適合しています。コスト集中戦略の成功例は、マクドナルドだけでなく、ユニクロ、ニトリなどの製造小売業があります。コツコツとオペレーションを改善していくのは、日本人の気質にあっていると思います。
最後に、3)の危機を乗り越えた過去です。マクドナルドは長い歴史の中で、何度か危機に見舞われました。店舗急拡大、極端な安売り路線後の業績の大幅な落ち込みがありました。鶏肉スキャンダルの時も、ショッキングな写真がテレビ、ネットに流れ、大きく業績を落としました。
しかしその中でも、ブランドを陳腐化させず、リニューアルして復活してきました。こういうクライシス(危機)を組織一丸となって乗り越える風土があります。
3.クライシスの中でリーダーに必要なこと
クライシスの中、組織には明確なビジョンと戦略、そして強いリーダーシップが必要です。それがあれば、生真面目な日本人は、一丸となって働くと思います。
多くの企業が「新たな強み」を得るのは、クライシスを乗り越えるときです。コロナ禍のなか、苦境に立たされている企業がたくさんあります。しかし、この不遇な時代に培ったものが、また次のステージで活かされていくと思います。
社会で働く多くの人がコロナ禍の中で、何をやればいいのか途方に暮れていると思います。一方で、多くの人が何らかの形で社会に貢献したいという気持ちを抱いていると思います。明確なビジョンと戦略を掲げる、そしてみんなに伝えるというリーダーの役割が、何よりも重要になります。
以上、最後までご精読ありがとうございました。