早嶋です。
本日の午後は岡山で、歯科医師向けのマーケティングセミナーでした。今回も、ドクターの医院の事例を基に、歯科のマーケティングを考えるセミナーでした。参加者されたドクター、お疲れ様でした。
さて、セミナーの終わりに出た質問で、「ユニット台数を1台追加するか否かの投資判断はどのように考えるのか?」について、ファイナンスの考え方を示します。
詳細の内容に関しては、投資判断その1、投資判断その2、現在価値、を参照下さい。
A歯医医院で、ユニットを1台追加するか否かの投資判断は、ユニットを追加したことによって将来にわたって発生するキャッシュフロー(CF)の金額と、ユニットを追加しないで事業を継続した場合の将来にわたってのCFの金額を計算します。
説明するために、ユニットを追加した場合を「追加」プロジェクト、追加しなかった場合を「追加なし」プロジェクトとしましょう。
A歯科医院の前提条件として、ユニットの台数が3台で、年間の売上が5000万円だと仮定します。そして、この売上は、歯科医院の資源をフルに使った最大の売上だと仮定します。このA歯科医院では、売上の10%がCFとして残ることが計算できました。そして、A歯科医院は今後25年間、安定的に上記のCFが発生すると仮定します。
これに対して、ユニット台数を1台追加した場合、ユニット1台の価格が300万円、備え付ける工事等の諸経費が100万円かかるとします(簡略化のために、減価償却、税の話しは全て無視します)。ユニット台数を1台増加することによって、初年度のCFは、400万円、2年目は450万円、3年目は500万円、4年目に550万円、5年目に600万円、7年目以降は625万円のCFが見込めると計算できたと仮定します。
それでは、追加なしプロジェクトと追加ありプロジェクトの正味現在価値(NPV)を計算して見ます(詳細は、現在価値を参照)。割引率を5%としました。
【追加なし】
初期投資:0円
1年目のCF:500万円
2年目のCF:500万円
・・・
25年目のCF:500万円
NPV=7,047万円
【追加あり】
初期投資:400万円
1年目:400万円
2年目:450万円
3年目:500万円
4年目:550万円
6年目:600万円
7年目:625万円
・・・
25年目:625万円
NPV=7,846万円
上記の計算より、追加プロジェクトの方が追加なしプロジェクトと比較して約800万円高いNPVになることがわかります。この場合、ユニット台数を追加する投資判断はGo!となりますね。
実際のキャッシュフローの予測や割引率の設定はもう少し複雑ですが、歯科医院の投資判断でももちろんNPVの考え方は有効ですね。