早嶋です。
日経の記事に、ダイドーがおむつを扱う自動販売機を全国で200台まで増やすとありました。
そもそもの背景は、日本が自動販売機天国になりその後、コロナによって状況が変わってきたことを説明しています。しかしコロナはきっかけで、元々から自動販売機事業そのものが低迷しつつあるようです。
1962年にコカ・コーラが日本にはじめて導入。都市部では半径100mに必ず自動販売機がある!というくらい普及するまでになっています。しかしコンビニの台頭によって自動販売機は状況が変わってきます。自動販売機のピークは2013年で設置台数はピーク時よりも今は7%程度減少しています。また、売上比では同年と比較して現在では5.8億ケースと13%程度減少しています。
コロナの影響により人の移動が制限される生活が当たり前になれば、自動販売機が良く利用されていた駅やオフィスの需用は減少されるので今後はますます厳しくなるでしょう。
そのような状況下でもこれまで投資を続けて来た背景は定価での販売ができていたための利益率の良さです。設置や補填やゴミの処理を鑑みても一定数がコンスタントに売れるビジネスモデルは企業に取って魅力的だったのです。
しかし、今回のコロナで今後の方針が大きくかわりはじめます。そこでIoTを活用した取り組みをかけ合わせて自動販売機で売れる商品を提供しよう!とこぞってIoTとの組み合わせを皆模索しているのがどうも背景のようです。
●ダイドーはデジタル化で売れ筋商品を管理
●コカ・コーラは飲料の補充などの業務を見直し
●サントリーは無償の健康管理アプリを配布して自販機ビジネスとの組み合わせを提案
●アサヒは上記のような取組を提携会社とすすめる
と業界大手は皆、自動販売機を活用した次の事業モデルを模索しています。ただ私は思います。自動販売機がたくさん売れる場所やコンビニがたくさん売れる場所は、上述したオフィス街や駅近くなど立地の良い場所。一方で住宅街や普通レベル以上の人々が生活する場所では基本自動販売機で購入することをせずにスーパーで購入して自宅でコップで飲むなどの行動を取ると思います。
したがって、飲料以外の商品を自動販売機で揃えたところで物量が出るわけでもないし、ましてやおむつのようにかさ張る商品は自動販売機の回転率が上がれば補充の手間が増えるだけで利益が得にくいのではと。
結果的に自動販売機にIT投資をしようとしても最終的には人の移動とともに市場規模はシュリンクしていくのではと思います。
実際、機器メーカーの撤退の動きは始まっています。パナソニックは2月に自動販売機製造から撤退。別の大手であったサンデンHDも自動販売機の製造を手掛ける会社を投資ファンドに売却しています。こちらの事業判断が私は懸命なのかな?と思います。
人の移動が一定数あったから活用されていた事業モデルで、人の移動が制限され基本家庭にいるのであれば、はじめからネットで注文してデリバリしてもらう。という商品を選択していくので、自動販売機の需用をIoTで工夫しても、うまくいかないと思うからです。