【動画】SDGsを経営に取り入れる!

2020年11月9日 月曜日

ビジネスインプット基礎講座、「SDGsを経営に取り入れる!」の紹介です。

「SDGsを経営に活用する」では、SDGsの概念、それらが経営の世界で議論されるようになった背景、そして具体的に企業にどのように活用するのか?の3点について約37分の動画で解説しています。

SDGs。最近紙面やニュースでも目にすると思いますが、今回はこのSDGsについてコメントします。まず、読み方ですが、エス・ディー・ジーズと読みます。日本語で持続的な開発目標と略され、Sustainable Development Goalsの略称です。

SDGsは国際社会が力を合わせて注力して2030年以降も地球そのものが持続できる環境にしようとするための課題のリストです。その課題のリストは17個あり、更に169個の詳細な目標に細分化されています。国連加盟国や国際機関、そして企業や市民が参加して皆で持続可能な社会を構築することをゴールにしています。

SDGsは、2000年に国際連合サミットで採択されたミレニアム開発目標(MDGs)がベースになっています。当時のゴールは8つの項目が掲げられていました。

ゴール1:極度の貧困と飢餓の撲滅
ゴール2:初等教育の完全普及達成
ゴール3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
ゴール4:乳幼児死亡率の削減
ゴール5:妊産婦の健康改善
ゴール6:HIV・エイズ・マラリア、その他疾病の蔓延の防止
ゴール7:環境の持続可能性確保
ゴール8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

上記8つのゴールから見てとれるように当初は先進国による途上国の支援を中心とした思想で取り組みがスタートされています。しかし残念ながらMDGsは多くの国や地域を巻き込んだ活動だったのですが盛り上がりにかけていたというのが正直なところだと思います。

次にSGDsの動きと共に、経済界を巻き込んだESG経営について触れてみたいと思います。ESG経営とは企業が長期的な成長を遂げるために3つの要素を重視する考え方です。その要素は「環境」(E:Environment)、「社会」(S:Social)、「企業統治」(G:Governance)を指し3つの頭文字からきています。

環境は自然環境に対しての配慮で、環境汚染や生物多様性への配慮、省エネ、CO2排出削量削減などです。社会は現在社会に及ぼす影響で、労働環境や人権問題への配慮、地域社会への貢献などです。そして企業統治は経営に関する様々な管理体制のことで、経営の透明性が高い企業や資本効率化への取組などです。

こちらは2006年に国際連合のアナン事務総長(当時)が機関開発投資家に対してESGを投資の枠組みに入れる「責任投資原則」(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱したのをきっかけに企業に普及しはじめました。経営の世界ではそれよりも以前から「企業の社会的責任」(CSR:Corporate Social Responsibility)が学術界から求められる動きがあり、これがESG経営に発展していましたが、当時はまだスローガンで終わる企業が多かったのが事実です。

しかし、2008年のリーマンショックの後に資本市場で短期的な利益追求に対しての批判が高まり、その動きが責任投資原則の署名機関増加につながります。機関投資家も実際に持続可能な社会を構築する取組をする企業が結果的に超的に高いリターンを出すことを確認した背景もあるでしょう。また、自然環境や地域社会なおの様々な外部要因が企業に成長に影響を及ぼすようにもなりました。無理に事業展開を行った影響で、環境汚染や労働問題や社会問題に発展する不祥事も当時の情報化と共に世間に多く露出するようになりました。2010年頃にはこれまであまり議論されなかった経済格差や自然破壊など、資本主義の負の側面も問題視されるようになりました。その結果、2012年頃にはESG経営を取り入れた企業に積極的に投資する機関投資家が徐々に増加し始めたのです。

2015年はミレニアム開発目標の区切りの年で、新たにSDGsが設定されました。その際、先進国が決めた開発目標によって途上国から出た反発などの反省等もあり、また責任投資原則の急激な盛り上がりに併せてSDGsの目標設定が見直されたのです。

その結果出来上がったのが17の目標と169個の細分化された具体的な目標です。SDGsに加盟している国は国連加盟国の193カ国で、各国は2030年に向けて各国が取組んだ成果を毎年詳細に公開して7月頃に報告会を行っています。

(17の目標)
1:貧困をなくそう
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8:働きがいも経営成長も
9:産業と技術革新の基盤をつくろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくりを
12:つくる責任つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標達成をしよう

(具体的なターゲット目標)
1.1:2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2:2030年までに、各国定義のよるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性子供の割合を半減させる。
・・・というように17の目標それぞれに更に細かい具体的な目標が設定される

2019年7月に発表されたSDGs達成ランキングは162カ国中、日本は15位でした。17の目標のうち、達成されていると評価された項目は「4:質の高い教育をみんなに」と「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」でした。17の取組の中で特に日本が上げた課題は「5:ジェンダー平等を実現しよう」「12:つくる責任つかう責任」「13:気候変動に具体的な対策を」「17:パートナーシップで目標達成をしよう」の4つの項目です。

これらを受けて政府はSDGsアクションプラン2020を制定して、経済やビジネスの観点からの推進、地方創生の観点からの推進、そして次世代・女性の活躍の観点からの推進の3つを軸に4,000億円の予算をかけて取り組んでいます。

SDGsの取組は大企業や行政だけではありません。例えば小さな店舗や中小企業もこの活動を推進することで企業の信用を上げ注目を集めるきっかけを得るとともに持続可能な社会の構築を担っています。

広島県にあるパン屋さんは、食品ロスを解消する目的で週3日の午後だけ店を開け、基本的には4種類のパンのみを販売しています。シンプルなパンを提供することで食品ロスをなくし、従業員の労働時間を短縮することにも成功しています。

東京都の自由学園は教育の現場に食育を取り入れてSDGsの活動を行っています。幼稚園から小学校、中学校、高校、更には大学まで一貫した教育を提供する中で給食で提供される食事を生徒が交代で作ったり、食材を園内にある畑から調達したり、ご飯も園内の枝打ちした木々を使って薪窯で炊いています。このような活動を通じて持続可能な社会を体験して教育にも取り入れているのです。

SDGsとは普遍的な目標として世界中が取組んでいる活動です。先進国と途上国、大企業も中小企業も、皆が一緒に掲げて将来の持続可能な環境を構築、維持するための取組と意識して活動を始めることが大切です。

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