早嶋です。
メガバンク3社とJR東日本がスイカを軸にデジタル通過と電子マネーの相互利用の検討をはじめています。基本的な枠組みはデジタル通過をJR東のスイカに紐づけて連携できる取り組みです。
みずほはJコインペイ、三菱UFJはMUFGコインなどの発行を行っている、あるいは検討中ですが、電子マネーとして金融系が動く理由は、デビットカード式の決済の仕組みを再度議論することだと思います。(※金融機関の主な役割は過去のブログを参照:https://www.biznavi.co.jp/blog/archives/5216)
日本ではATMが多く、クレジットカードも普及していたためデビットカードの仕組みは普及しませんでしたが、合理的な決済としてはリスクが最も低いです。スイカがどこでもスイスイ使える最大の理由は、スイカにチャージされた金額内では無条件にそのカードの信用が担保されます。
つまり、スイカの中に5,000円相当のチャージがあれば5,000円までは無条件に購入することができます。これがクレジットカードであれば、5,000円相当の商品を買う際に、その人が1ヶ月後に5,000円相当の資金を支払う能力を担保する必要があります。その際に、100人くらい人がいたら、1人くらいは払えない可能性があることを残りの99人で担保するため、真面目に支払える99人が無駄に決済手数料を支払う必要があるのです。実際、そのコストは店舗が3%から5%程度肩代わりしていますが、これがデビット方式であれば、理屈上スイカと同じで担保が不要になります。
それでもスイカを使用する際に、決済の手数料などをまだ1%以上取られていると思います。これらをもっと合理化して、スイカと銀行を紐付けることで、少なくとも決済の手続きは、その人の口座にあるお金と同等は無条件で担保できる仕組みがとれるので、クレジットカード会社がこれまで培ってきたビジネスモデルを駆逐することが理屈上可能だと思います。
更に、スイカと金融がタッグを組むことでこれまで行えなかった送金などの取り組みが自由に行えるようになると発行枚数8,000万枚のスイカは圧倒的に便利になりますよね。更に、スイカのお金の動きを自由に管理してもらう代わりに、その人の資金の使い方をみて、金融機関の融資を有利に受けることができるとなれば、今度は融資の機能をより合理的に取り入れることが可能になります。もちろん、お金の動きを把握されたくない人は、その権利を行使しない代わりに、従来通りリスク料を払って資金調達をするとよいのです。そうすると、きっと50%以上の人は特定の金融機関に対して自分の資金使途を公開すると思います。これによって、一気に融資の手間や手続きが簡便化されるのです。
但し、上記の議論を行う際のプレーヤーの数が多すぎるので、本来の顧客に寄り添ったユーザーフレンドリーでかつコストが安い仕組みにならないような気がしますが、そこは頑張ってほしいと思います。