早嶋です。
2008年のリーマンショックの年、米国では政府系の会社が金融危機で国有化されリーマンブラザーズが破綻しました。当時のローン担保証券で借金を束ねて新たなカタチのデリバティブが金融筋では「やばい」となりました。結果、株価が急落して「もうだめだ!」という状況が蔓延していた状況を思い出します。その後リーマンブラザーズが発行していた債権保全のための発行会社であったAIGが破綻に追い込まれ、借金漬けの金融の弱さが一気に広がったのです。
米国株の記録的な弱気相場。コロナ危機が発端ではあると思いますが、今回のガンはローン付き担保証券であるCLOでは無いかと思います。CLOは各付けが低い企業の融資をまとめて取引するローン担保証券です。これらの担保付き証券はKKRやカーライルといったプライベートエクイティ(PE)が多く手掛けており、彼らの投資案件の資金源にもなっています。
リーマンショックの時もそうですが、常に世界は借金漬けで投資家はだましだましゲームを繰り返しているようです。従って投資家は景気が悪化するサインには常に敏感で、仮にそのタイミングがきたらCLOの購入には慎重になります。結果、銀行はローン自体を抑制せざるを得なくなります。その結果、上述のPE会社は借り入れコストが跳ね上がるので、相当数のディールが減少します。
ロイター社の記事によれば米国のCLO市場は2012年以降2倍以上に成長して6500億ドル規模を誇ります。そしてJPモルガンの見立ては2020年中に発行残高が1兆ドルを突破すると予測していました。
きっかけは思わぬところからやってきたのです。コロナです。常に借金漬けなのでリスクを感じながらも金融は動いていました。当初から米国の景気後退懸念や経済を巡る全般的な不安感などが募り、投資家がCLOに対してもっと高い利回りを要求する懸念がありました。そうすると、CLOの新規発行はやがてとまります。
同様に格下げも厄介です。CLOの設計上、ある一定の格付け資産が含まれると評価の仕方が異なってきます。通常は原資産のローンを額面で評価しますが、一定の格下げがくれば資産の時価評価が求められるようになります。当然、時価は額面を大きく下回ります。そのためCLOの資産評価が目減りくらいの企業の格下げが非常にリスクなのです。
過去スタートアップの会社がとてつもない倍率で取引がされていましたが、金融筋は資金を集める手段があったのです。負債を使って成長を加速させる。それがすごい勢いで成長してユニコーンなどの言葉が出てきました。しかし物理原則の基本と一緒で高い倍率はいつかは低くなり元に戻るのです。そのきっかけがコロナでハイルート債であるCLOが影響している。と思うのです。
一度マイナスに動き始めたら止めることはできないと思います。状況としても長引くでしょうね。不要不急の投資は控えられるでしょうが、本当に価値のある付加価値のあるものは当然に継続的な投資の対象になる。その結果、社会はまた新たな世界になり変化していく。そして、何らかの仕組みが作られ借金での成長はまた違う姿ではじまる。学習をしているようで学習していない。規模が大きすぎて小さい会社はどうにもならない。こことしての力と信用を継続的に構築して一定のリスクヘッジをする。このあたりがやはり大切になってきていることが証明されますね。