音の効果

2007年9月25日 火曜日

早嶋です。

長崎の中華街(新地)では、中秋の名月をお祝いする中秋節が行われていました。黄色い提燈(ランタン)と独特の音楽が風情を出しています。

案外気付かないものですが、音が果たしている役割は、その企業のマーケティング活動をより効果的にします。音は我々の想像を促し、その想像をイメージ以上のものにするのです。

大学生の時、初めて購入した携帯はソニー製でした。購買の動機となったのが、「クルクル、ピッピッ」。当時、画期的なでジョグダイアル機能を音で表現するCMの印象が強く、展示してる商品のジョグダイアルを実際に回します。CMと同じ音に刺激を与えられ、購買したことを思い出します。

消費者調査で著名なJornal of Consumer Reaearchに掲載された論文に、店舗やレストランにおけるサービス、購買金額、購買客の店内での流れとBGMの関係を調査した報告があります。これによると、ゆっくりとした音楽であればあるほど、より多くの人たちが購買をする傾向が強くなり、逆に店舗が早くなれば、購買金額が少なくなる実証が示されていました。

これに類似する研究で、ゆっくりとした音楽が流れるレストランでの食事時間は長くなることが明らかになっています。食事時間が長くなれば、お酒の注文が増えることから、バーではリラックスしたBGMを意図的に流しているところもあります。食事客の平均購買金額は、テンポが速い音楽よりも遅い音楽をかけたときの方が約3割高くなるというデータもあります。

音の力は偉大です。ラスベガスのあるカジノ店では、スロットマシンの騒音やコインが落ちる音を気にしていました。そこで、音が出ないように工夫をしたのですが、急に売上が落ちたのです。実は、うるさい音やコインがジャラジャラ落ちる音が消費者にスロットをさせる気分を喚起していたのです。これは、日本のパチンコ店にも当てはまると思います。

音を効果的に使ってブランディングを成功させた企業にインテルがあります。インテルは、PC部品メーカーとしてPC購買者に直接的にコミュニケーションすることに成功した初めての企業です。インテル・インサイド・プログラム。このプログラムに参加しているPCメーカーがインテルからプロセッサを購買すると購買金額の一定割合をインテルが広告資金としてプールします。そして、そのメーカーがインテルが入っている製品の広告をする際、インテルは広告費用の一部をメーカーに払い戻すシステムをとりました。

どのメーカーのPCのCMでも、終わりにインテルのサウンドロゴが流れているのを不思議に聴いた記憶があると思います。マイクロプロセッサーと言っても良く分からない商品のイメージを音を使ってうまく浸透させることに成功したのです。

逆に、PCでもWindowsは音の効果を十分に利用しきっていないと思います。Windowsユーザーは世界のPCの9割を超え、PCを起動するたびにマイクロソフトの起動音を聞いています。マイクロソフトのブランドとこの起動音を連動させたマーケティング活動を行っていれば、マイクロソフトのブランディングはより強固なものに出来たと思います。

しかし、旨く連動していないように感じます。その理由は、Windowsの音の歴史にあります。95年のWindows発売から音を4回変えているのです。この音を普遍的な音としてPCの起動音だけでなく、他のソフトウェアやPDA、ゲーム、電話、インターネットなどマイクロソフトの製品に全て一貫して流していたら、誰もがその音を聞けばマイクロソフトをイメージすることになったでしょう。

マーケティング活動において、音も重要な役割を示すのです。



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