早嶋です。
人の85%は無意識の世界に生きているといわれるように、実は顧客は購買する時にあれこれ考えていないのでは?というのが最近のマーケターの主張です。そのために行動データを分析すると同時に、その人がなぜ買ったのか?というのを、その人以上に知ろうとするマーケターの欲求が非常に楽しい世界に入ってきています。人は感情で購入する。ココロとアタマがあったら、アタマで考える以上に、ココロの決定によって左右されている。だったら、自然とココロを操っていこう。というのがマーケターの密かな思いなのです。
群衆をいかに動かすか。というテーマで言えば、戦時中に多くの人を動かす心理に似たような学問がマーケティングにも活用できる。正しい真理を普及させ、多くの人をその心理の虜にしようとする宗教活動にもにています。でも感情を扱うようになると、創造の世界が更に膨らむことは間違いなく、高度な技術と取り組みが要求されるようになってきます。
基本、機械の進展やAIなどのデジタル技術の融合により企業が提供する商品は、はじめこそ違いがあるでしょうが、普及期にはその違いは素人にはわからなくなります。違いがわからなければ価格の差で勝負が付きます。そうすると合理的に安く提供できる企業が必ず天下を取ることができます。はじめに始めた企業は時間的な経験値でコストを下げることができるでしょう。大量に提供する企業は規模の経済で安く提供することがでいるでしょう。結果的にその業界で資本が大きい、あるいは規模が大きい企業が生き残ります。
でも、これは感情がなかった機能の世界だけの話。そもそも商品の違いがわからないのに、高い価格でも売れるものは売れ、安くても売れないものは売れなくなる。今、そんな自体が観察される時代です。商品の印象や企業に抱くイメージによって同じ商品が、同じ機能が違って見えてくるのです。アタマで考えたら分かりませんが、ココロで捉えてみると、なんとなく解ったつもりになる分野です。
それは細かい気配りかもしれません。それはその企業の社員の独特の文化かもしれません。商品を作る際の環境に配慮した取り組みかもしれません。でもその何かが確実に機能以上に価値を創り出す功績を残しているのは事実です。それは何でしょうか。
しかし、ここで言えるのは、その価値を表現すること、そしてその価値を感じれる人に対して、正しく伝え続けること。その2つの取組みが大切になってきているのです。マーケティングの4Pの中で商品、価格、流通、販促の4つがありますが、商品戦略と価格戦略はどちらかと言えば価値を創り出す分野です。小売に対しては、その商品の展示や届け方を含めて商品でしょうし、営業のトーク一つとっても価値の創造になるでしょう。
一方で、それらをどのように顧客に対して伝えていくのか、どのように双方の考えを取り入れていくのか。これはコミュニケーションに関する取り組みです。感情は顧客に芽生える概念なので、顧客が感じれるように情報提供することが極めて大切になってきています。
顧客起点の捉え方もだいぶ考え方と手法が異なってきているのはこの感情を扱うようになった背景があると思います。