原です。
多くの企業が顧客の声を聞く調査方法として、アンケート調査に取組んでいます。紙への記述アンケートだけでなく、最近はネットやSNSでのリサーチが増えたこともあり、安価でスピーディに情報を集められるようにもなりました。
情報を収集できる対象人数も多く、集計分析が可能などのメリットがあります。
このように、アンケートはマーケティング上で有効な調査方法の一つです。
一方、顧客の「生の声」を情報として集めたい場合は、アンケートよりもインタビューの方が適していることが多いのです。
なぜならば、アンケートで得られる情報は、記載された質問に対する答えに限られます。特に、アンケートは顧客の気持ちが表れにくいという欠点があります。アンケートへの回答内容は、理由がはっきりと読み取ることが難しいです。理由が分からないと、課題設定が不明確となり課題解決できません。
もちろん、アンケートでも質問項目に理由について問うこともできます。
自由回答欄に「理由」を書いて頂くこともできます。
しかし、記述には時間がかかるため、回答者の負担を考えると理由の掘り下げには限界があります。そもそもアンケートでは、アンケートの回答内容を詳細に書いてくれる人は少ないと思います。
記述内容も文章力や表現力など、書かれた内容がどんな意味をするのか、意図が分かりにくいことも多いです。
例えば、美容関連商品のマーケティング調査のケースです。
「この商品を友人や知人に勧めたいですか」という質問項目があります。あるAさんのアンケートでは、「自分が買わないから、勧めることができない。」の1行だけが書かれていました。この1行からは、結論として「勧めることはできない。」理由は、「自分が買わない商品は勧められない。」が読み取れます。
同じAさんからのインタビューの回答です。「私は、肌アレルギーでは困っていないから買わなくても大丈夫です。しかし、自分の周りには、肌のアレルギーが原因で病院に通っている知人がいます。こんな商品があるよと勧めたいです。」と言われました。このように、インタビューでは、勧めたい理由と勧めたい人物像まで聞き出すことができました。
それから、筆者はグループインタビューの最後にアンケートの記入もお願いします。
アンケートへの記載については、1つの質問事項について1行から2行ではなく最低でも3行以上は記載するようにお願いします。それでも、インタビューでの発言数は多いのにアンケートでは1行しか書けない人もいます。また、インタビューでは明確に発言しているのに、アンケートでは何を書いているのかが分からない意味不明な文章を書く人もいます。
まずは、インタビューの重点項目により、広く深く自由に聞き取る。続いて、インタビューで聞いた重点項目をアンケートで数字により定量的に検証していく。インタビューでは聞けなかった漏れをアンケートの自由欄で補う。
つまり、インタビュー(定性調査)とアンケート(主に定量調査)の両方で調査することにより、顧客の声を聞き取る「限界の枠」が広がるのです。