原です。
仕事の管理(時間管理)には、タイム・マネジメントの考え方があります。
タイム・マネジメントでは、重要度と緊急度の2つの軸があります。
多くの人は緊急な対応に追われ、バタバタした時間や人生を過ごすことに集中しがちです。
一方、緊急ではないが重要な領域を第二領域と言います。
第二領域は、将来を考えると重要なことだと分かっているけど、緊急なことを優先してしまいがちなため実行しないまま日々が過ぎていく傾向があります。
なので、主体的・計画的かつ優先的に実行すべき領域なのです。
筆者は、顧客の声を聞くマーケティング調査の導入を企業に提案します。そうすると、次のような返答があります。
「顧客の声を聞くことは、とても重要だと知っているけれど、製品づくりに時間がかかる。忙しくてそんな時間はない。製品づくりに集中したい。」です。
「顧客の声を聞くことは重要である。しかし、そんな時間はない(緊急ではない)」は、第二領域に当てはまります。
それでは、なぜ、重要だと分かっていても実行できないのでしょうか。
主な原因となるのが、仕事の優先順位が不明確であることが考えられます。
著書「7つの習慣」でも有名なスティーブン・R・コヴィー博士は、タイム・マネジメントの本質を一言で言うなら「優先順位をつけ、それを実行すること」に尽きると話されています。
また、タイム・マネジメントの世界では、全体の活動の重要な20%が結果の80%を生むという理論があります。パレートの法則と言います。
重要度が高く優先すべき第二領域は、この20%に該当します。
優先順位が不明確なために、以下のような不具合も生じます。
モノ作りが好きな人は、モノ作りに集中します。好きなことに集中することは良いことです。しかし、集中しすぎて顧客の声を聞くことを後回しにする人がいます。結果、顧客のニーズに合わずに売れない商品になることがあります。
また、緊急なことに全て対応してしまう思考と行動パターンから抜け出せなくなる人がいます。「緊急中毒」とも言います。
例えば、販売員や顧客からの商品に対するクレームに緊急対応します。
しかし、クレームの原因を顧客から聞かない限りは、問題は解決できないことがあります。それなのに、重要度の高い「クレームに対する顧客の声」を聞かないために、いつまでもクレーム処理などの緊急な案件に対応し続けることになります。
優先順位とは、「すること、しないこと」を決めることです。
重要度の高いことからする。任せる。重要度の低いことはしない。減らす。後回しにする。
それと、「いつから、いつまで」の「いつ(When)」を決めることです。
「顧客の声を聞く」は、製品・サービス開発の担当者が行うこともあります。企業内のチームメンバーに任せることもあります。弊社のようなコンサルティング会社に委託することもできます。
人手不足など多忙な社会だからこそ、優先順位をつけ、重要度の高い「顧客の声を聞く」を後回しにせず実行することが大切です。