早嶋です。
80年代に入ってから証券化の動きが本格的になったと言われます。証券化とは、不動産や債権などの資産を有価証券化することや、有価証券化して処分することにより対価を得る一連の取引を指します(参照: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。
証券化により、不動産や天気予報等でも、何でも金利を付加させるなどして、一定のキャッシュフローを生む金融商品に仕立て上げて、市場取引が可能になります。
銀行を例にとります。住宅ローン債権を証券化することで、それを売って資金を調達する事が可能になります。調達した資金を別の貸し出し案件や次の住宅ローン引き受けに投入し、その債権をまた証券化して資金を調達すれば、ビジネスを拡大することができます。
では、証券化された金融商品は誰が買うのでしょうか?これは、生命保険会社や年金運営会社をはじめ、機関投資家などです。また、大手の銀行が買うこともあります。
流動化は、通常であれば長期で寝かせなければならない資金が流動化できます。そのため、機関投資家には確定利付の運用対象が広がるなど、どちらにしても便利なので証券化の波が世界中で一気に急速して言った背景があります。
流動化と同様に、信用各付けされた金利の差額を利用した金融スワップ取引や、金融商品の価格変動リスクを回避すべく開発された金融派生商品(デリバティブ)など、新しい金融商品が次から次に生み出されています。
80年代に入って上記のような金融商品が本格した理由は何でしょう?再度考えて見ると、金融工学の高度発展もありますが、85年を境としたサイバー空間の登場でしょう。ITや通信技術の普及と共に、金融市場の商品も大きく変わっています。(大前さんは、上記をサイバー空間、ボーダレス空間として解説しています。)
新しい金融商品は、元の資金が2重にも3重にも賃借されて、総額が10倍や20倍に膨れ上がった形で世界の金融市場で取引されていると考えると、マルチプル空間が見えてきます。85年を境に、金融市場の取引は、実体経済をはるかにしのぎ凌駕した規模で暴れまくっています。