トップマネジメントの仕事の一つ

2018年12月18日 火曜日

早嶋です。

似たようなビジネスモデルを同じような経営環境下で経営するトップ・マネジメントに次のような人がいます。片方は、「人材が不足している」と言い、すべての根源を人材不足のせいにします。一方は不足する部分は否めないが「人材が不足しているわけではない」と言います。

考えて見れば、前者のトップマネジメントが言う状況が数年も続けば、規模を縮小するか、一部の事業を外注に出すなどしなければ仕事が回らずに、最悪の場合は経営困難に陥ります。しかし、実際はなんとなく経営が回っている状態が続いています。人材が不足しているのではないのです。実は人材が余っていて、仕事がうまく回っていない可能性もあるのです。

そもそも前者のトップマネジメントの特徴に、ビジョンや先を考える戦略が乏しいことが観察できます。従って、そのために今何をすべきかという思考にならずに、従来から数年以上も繰り返してきた同じやり方を続けます。結果的に世の中の経済が低迷し続けているので、どんどん辛くなって行くのです。もし、ビジョンがあり、逆算する思考があれば、今の行動は昔の延長ではありません。当然、そのことを社員と共有しながら新たな仕組みを考え、将来のビジョンを達成するという意志をチームで共有することでチームの士気も高くなります。

また、そのようなトップマネジメントは現場に仕事を丸投げして、自分は会合に出たり、ゴルフに行ったりと、ひたむきな姿を見せないために、社員からの信頼は冷え切っている場合が多いです。既に、そのような組織にどっぷり使ったものは、それが当たり前になっているでしょうが、新たに入ってきた社員は自分の将来が不安になり、その場を離れていくのです。人が定着しないのもすべてトップ・マネジメントに否があると思います。

そのような根本を考えずに、リクルートコストをかけて人材を採用しつづけます。そして採用できてもすぐに離職する。このような悪循環が続くのです。社員が定着しない理由の一つに教育があります。現場に丸投げで、トップマネジメントが仕組みを作りません。現場の社員は、新しい社員の教育を昔は行っていたかもしれません。しかし、いつしか、すぐに辞めるので、どうせ教えても無駄という雰囲気に陥り、それがさらなる悪循環になり益々定着しなくなるのです。

人材不足の社長に対して、どのような人材がどの程度不足しているのかという質問を投げても筋の通った答えは返ってきません。人材が不足しているという表面的な現象に目がいき、本質を考えることを放棄しているからです。

日本の今後を考えると、人の調達は益々難しくなります。しかしそのような環境下でも後者のトップ・マネジメントの部隊のように不足はしていない。という組織もあります。また、そのような組織は、同じビジネスモデルで同じような経営環境でも人材があつまります。例えば、バイトやパートがやめる際は、急激に退職するのではなくある程度時期を共有しているため、次の担当を探す時間もあります。また、やりがいがある仕事という認識がスタッフの中でも定着しているので自分の代わりを自ら探すので、結果的に仕組みとして人が定着するようになっているのです。

そのような企業はトップが常に先のビジョンを示しながら、それを現場にも伝えます。日常的な仕事の中でも足を運び、なにかあればトップが率先して協力する姿勢を示しています。またトップは部下に対して少なくとも手本となる行動を取り続けています。教育システムに対しても立派でなくとも、その組織や業界環境を鑑みた教育が準備されています。

人材は今後どんどん不足します。大企業においても不足している訳ですから中堅、中小企業は益々人が集まらない状況になるでしょう。そのため人材の育成とモチベーションを維持することは、将来の事業を開発することと同じ位、重要な仕事として捉えてトップが率先して取り組むべきことなのです。



コメントをどうぞ

CAPTCHA