歴史は真実か。

2018年10月19日 金曜日

早嶋です。

勝てば官軍。歴史の中に出てくる言葉ですが意味深いです。世の中の歴史は強いもの或いは、群衆を味方にしたものが結果的には作っています。真実か、否かは、それぞれの立場によって異なるのかもしれません。

ある地域の話です。もともとはA君の志で事業が始まりました。A君のネットワークや知恵でその事業は少しづつ形になりはじめ、やがてB君が加わります。A君は表に出ることは得意ではないけど、全体の構想や先のビジョン、主要メンバの人材ネットワークが恐ろしくあり、そして全体の仲間のことをいたわる人物です。B君は外に対してのPRが上手く、A君から誘いがあって事業を立ち上げる仲間の一人に加わります。やがてその取り組みは地域から全国クラスになります。

企業においても同じように、立ち上げ時期を共有した仲間は、はじめは皆が志を1つにして、誰が何かの役割をすることが無く、それぞれに形づくるために協力して動きます。ただでさえリソースが少ないので、この時期にチームが作れなければ、そもそも事業として成り立ちません。この時期は創業者と数人のネットワークのみが事業の機動力となり動きます。アイデアはあっても、形にするには時間がかかり、形が無いから構想力の無い外野は冷ややかにみます。従い、お金やモノなどの資源が常に不足します。

事業が立ち上がり成長の兆しを見せると、必ず今まで遠目に見ていた外野が徐々に仲間に加わります。リスクを取らない分、ムーブメントや波にのることが上手な人たちです。ただ、事業を大きくするためには、そのような仲間をチームに加えて加速することが必要です。初期のメンバだけで取り組むと時間、リソース、人で、お金が常に不足するからありがたい話でもあります。

企業であれば、基本的にその事業のアイデアは資本家の持ち分になり最終的な配分が分けられます。起業であれば経営者や役員が株式を保持して、利益の配分を仲間や将来の事業に投資する意思決定をします。したがってアイデアや誰が肝を握っているかは常に明らかです。しかし、地域を興すような事業は、資本をベースにする会社組織のような形もなく、ボードメンバのようなガバナンスもありません。あるのは一過性の取り組みと、表現巧みなパフォーマンスです。志があればよいのでしょうが、見せかけの志が多く、人気のピークがくる前に、さっと曳き波のようにいなくなります。人間関係も軽薄な場合が多いのです。

取り組みが大きく注目を集めると、また、そこに波及的に人やメディアが殺到するようになります。すると、当初の目的や志はどこかに行き、その波に乗っかりたい人が勝手に過去を解釈して、取り組みを美化していきます。本来の取り組みができていないなということでA君はそのエリアを離れます。A君はまたゼロからスタートして志をつづけます。B君は、そのエリアの主要人物になり、新たにやってくる相談を一気に引き受け、注目を集めるようになります。

でもB君はもともと構想力も無いし、ネットワークも乏しい。他にPRすることはできるけれども、そもそもキャパオーバーな相談を受けるるたびに自分たちのスタッフや仲間が疲労困憊していきます。そんなときは夜な夜な夜型のA君のところに行き相談します。A君はいつも快くB君の相談に乗り、いつものように采配をして、不足する人脈やマンパワーを惜しみなく提供します。そしてB君はいつものように何くわぬ顔で問題を乗りこえ、また周囲から、その取り組みとアイデアと行動を称賛されるようになります。

B君はメディアに乗っかることは上手な人物。注目を集めるたびに露出も増えていきます。でもB君は常に自分の手柄のようにコメントしてA君の存在を表に出しません。B君のスタッフも仲間も知りません。そんなときB君は急な病に倒れます。初めてA君とB君が出会って10年以上は経過しているでしょう。B君の周りには、事実を知らない仲間が集まり悲しみます。残されたスタッフはB君を仰ぎますが、後手後手の取り組みと後処理を任されるばかりで何のノウハウも教育もされていません。B君がいなくなった今、残るものは何もありません。再現性がきかないのです。右腕も左腕もいないので、仲間や見せかけのチームは山のように居るけれども皆が方向性が無い、主体性が無い、志がない、烏合の衆とかしただけなのです。

せめてA君の存在を知らせておけば、B君の周りに残されたスタッフも露頭に迷うことはなかったのに。それどころかB君の周りに集まる人達は急に現れたA君をとても煙たく思うのです。何も知らないから、それは当然だと思いますが、散々な状況です。

物事の本質は、登場人物の数だけ正解があるでしょう。正しく言えば、それを判断する人の数だけ正解が存在します。マジョリティを取り、その考え方を正しいと思い込ませることができれば、それが世の中では事実として受け取られます。そのような世の中に嫌気を刺すA君のような人材はきっと過去から現在において、多数いたことでしょう。そしてB君のような存在に影響を受ける人はもっと大多数いたことでしょう。重要なことは事実を知り、本質を見極めることです。流行りに乗ってなんとなく乗っかる行為は、基本的には長続きしないし、結果的にはそのエリアを急速に滅ぼす方向に導くだけだと思います。



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