早嶋です。
今は時期じゃない。確かに、そう言われるとちょっと不安になる。マイルス・デイヴィスは「タイミングは重要ではない。タイミングこそすべてだ」と言っています。我々にとっ「いつ」という決断は結構多い。いつ始めるか、いつやめるか、いつ変化するか。
時間という概念は本来地球、あるいは宇宙の活動を人が勝手に区切り、それを数字で表したのが始まりだ。しかし、それによって季節を知り、植物を植えるタイミングと収穫するタイミングを理解する。それによって食料を自由にコントロールできるようになる。時間という概念を他の人と共有することで、何かを同時にはじめ、同時に終わることができる。一気に集中的に行うことで、規模の経済を獲得できるようになったのです。
我々にとって当たり前の時間。実は、生まれつき持った感覚に由来する概念もあると思います。その感覚を活用することで、いつもよりちょっとだけ上手く行動できたり、思考できたりしたとします。それって、結構ハッピーですよね。しかし、世の中How to本は数多くありますが、時間をハックする本は少ないですね。ダニエル・ピンクの著書、Whenは、そのような状況下において正面から、いわばWhen to本と言っても良いような内容をまとめています。どうするか?ということにフォーカスせずに、いつ行うか?について時間と人間のメカニズムを科学的なアプローチで解説しています。
まず、我々は基本的な1日のパターンがあります。その基本パターンを理解するために次のような実験が行われました。ツイッターなどのSNSによって、毎秒6,000件以上のツイートに着目しました。そのツイートの表現を科学者が分析します。すると、概ね午前中はポジティブな発言が多く、午後にネガティブになり、そして夕方頃から再びポジティブに戻るという規則が見いだせたのです。
平日と週末を比較すると、やはり同じような傾向になり、若干週末がポジティブの傾向が強いという結果でした。このように様々な方向から一日の人間の行動や無意識を研究すると、いくつかの法則が見えてきます。それは我々の中にある体内時計のタイミングと重なり、無意識に着実に繰り返されるリズムがあるのです。
我々の多くは午前中はポジティブで、論理的な判断に向く傾向があるといいます。朝飯前という言葉は、簡単というワードではありますが、語源は朝ごはん前にこなすことによっと通常よりは、成果が出やすくなることから始まっています。昔の人は自分と自然を比較しながら、当たり前のこととして受け止めていたのですね。1日の早い時間帯のほうが、遅い時間帯よりも、正しく解決する傾向を我々は持ち合わせているのです。朝起きた瞬間から野生の本能によって注意深い状況がつづくのです。
そして午後は集中力が低下します。一方で何らかのひらめきは午後の時間帯に訪れます。インスピレーションには持ってこいの時間帯です。考えると、ギリシャやローマであったシエスタは実に理にかなった仕組みです。朝から仕事をして昼は家族とランチをともにして、それから休憩や昼寝をして夕方頃から再び仕事をする。午後にのんびりすることで、創造的な時間の使い方を古来から行っているのです。そして夕方から再び仕事をすることで、今度は再び脳が活性され生産的な成果を出しやすくするのです。
上記のことだけでも、様々なアイデアが出てきますね。例えば、相手をなるほどと納得させるシーンは午後一番よりも、明らかに午前中が良いことがわかります。しかも、お昼頃に終わるように会議を設定することで、次のアポイントも含まれることから集中して合理的な判断を下す傾向が高くなるでしょう。株主総会や重要事項説明会などは、このような人間元来の特徴を把握した上で進めるのも1つですよね。