満足度に置換える指標

2017年8月10日 木曜日

早嶋です。

クライアント先で、既存顧客のレーティングを行っています。企業が顧客を評価するというのは失礼な話ですが、そもそもマーケティングのスタートは顧客を分けることからスタートします。その企業は、地方で数十規模の店舗を持ち、生活に根付いたサービスを提供する企業です。

行った分析は2:8の分析の2割にフォーカスした取組です。2割の顧客が売上に貢献しているのだけど、本当にその企業にとって優良な顧客と言えるか?という仮説からスタートしました。行ったことは、上位2割の顧客に対して、どの程度が企業にロイヤリティを抱いているかを様々な確度から分析しました。通常、企業が顧客に対して調査する指標は満足度です。その場合、◯◯に対して満足ですか?という指標をゴールに5段階等で満足度を調査します。しかし、私の仮説では、満足度が高いのに売上が低い、或いは利益率が低いという企業を結構な頻度で観察していました。従って、mROI(マーケティングコストに対しての投資効果)という観点から満足度は若干弱いKPIなのではと思っていました。実際、上位2割の顧客の満足度は低い顧客もいました。当然、満足度が高いのに売上貢献が低い顧客もいらっしゃいました。

そこで、満足度の代わりにおすすめ度という尺度で顧客から評価をもらい、それに対して売上や利益の相関を取る分析を行って来ました。このおすすめ度という尺度は、米国のベイン&カンパニーが推奨する指標でそこではNPS(Net Promoter Score)と称されています。ベインの事例では、おすすめ度を10段階で評価してもらい、再びその商品の購買をおすすめしたいか?を10段階で調査します(もし、その商材が競合が利用することで自社のポジションが下がるような場合は、自分と同じ課題を持つ中に対しておすすめしたいか?などと表現を変えて調査をおこないます)。上位の9、10をマークした顧客や企業をPromotoerとして評価し、それ以下は段階的に名称を付けています。

そこで同様の調査を行い、Promoterの売上や利益率とそれ以外の売上や利益率を比較した場合、正の比較的強い相関が見えました。サンプル数は40程度でしたので、確かではないと思いますが、満足度と利益率の相関、継続したいか?という指標と利益率の相関、おすすめ度と利益率の相関で最も高かったのがおすすめ度でした。ということは、企業のKPIの1つ、マーケティング指標の1つに満足度よりもおすすめ度を用いた方が、より経営効率を高めることができるのではという仮説が成り立ちます。

いずれにせよ、マーケティングのゴールは販売を不要にして、楽して経営が成り立つ仕組みを作ることです。特に小さな企業は、嫌な顧客に対して媚を売って、値切られるよりは、こちらから堂々と選ぶこともありなのです。一方、大企業はそうは言ってられません。その取捨選択をすると、企業が必要な売上や利益を確保できなくなるからです。



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