早嶋です。
パワーレンジャーが公開されます。何のことかと言うと、日本版のゴレンジャーシリーズがハリウッド化されたのです。そう、赤レンジャー、黄レンジャー、桃レンジャーのあれです。毎回ワンパターンでそれぞれのヒーローが代わり番こに主役になって、最後はチームの力で悪に勝つ。
戦隊モノシリーズは、1990年台にアメリカに輸出され独自の進化を遂げてきました(今回の作品はアメリカらしく150億の制作費がかかっているようです。)。しかし、当時の輸出は壁が2つあったと言われます。1つは、ヒーローの一番の見せ所、名乗るシーンです。赤レンジャー、●●とか、青レンジャー、△△とか見せる場面で必ずそれぞれのヒーローが名乗り、ポージングをします。
合理的な当時の米国人からすると、その瞬間に打たれるぞ。ということで却下去れ続けられたそうです。しかし、それが徐々に見せ所であることが理解され、今では米国のヒーローも名乗る方向性に変化しています。実際、視聴者はそのシーンを自分で回想して、思い思いに変身ポーズとキメ台詞を口にしてあそんでいるのです。
2つ目は5人組ということです。スーパーマン、バットマン、スパイダーマン。米国初のヒーローは通常は1人。皆で力を合わせて問題を解決するなんてことが受け入れられなかったのでしょう。
しかし戦隊モノの基本はチームです。何かの理由で、互いに知らない、関係ないメンバーが集まります。チームとは言えない集まりが目的を認識して、自分の役割や責任を考える様になり、ジワジワ対立するメンバがリーダーの元意見の整合性をあわせ、チームへ変化します。敵対していた仲間も互いを認め切磋琢磨してチームと個々人がともに成長しながら悪に立ち向かいます。最後はチームの結束力や一体感が生まれ目的を達成する。そして、最終的には解散して各自がまた独自の歩みを始める。
考えるとよくあるパターンですよね。心理学者のタックマンが提唱するモデルにタックマンモデルがあります。チームは形成しただけでは機能せずに、混乱する時期を経て機能として動き出すという理論です。戦隊モノはまさにこのモデルに合致しているため人の心をつかみやすかったのでしょう。
加えて、5人もヒーローがいれば、様々なバックグラウンドがいて、必ず自分が共感するヒーローが出てきます。多様な人種や文化や思想の中で生きていく米国人に取って、この要素も受け入れられた背景にあるのです。