情と挨拶と接点

2017年7月12日 水曜日

早嶋です。

営業出身の大企業の社長講和をコンサル前に聞く機会がありました。複数の企業をグループに持つ社長の話で記憶に残っています。対象はグループ会社の幹部営業職で、同社はグループシナジーを最大化することを経営課題の一つに掲げています。

ポイントは3つでした。九州は他のエリアと違って情がある。挨拶は、担当者だけではなく、全員に平等に。業務以外の接点を作る。です。

◼九州は他のエリアと違って情がある。
九州は、他のエリアと違って人情というのがビジネスの世界にも生きています。単に価格や競争の世界に加えて、貸し借り、或いは恩義を受けた。という感情が強く長期的なビジネスを左右します。そのためには日頃から我々グループや社員や当人が出来ることがあったら惜しみなく手伝い、力を貸し、何か提供することが重要です。その際に、恩を売るという発想をして、相手のために、相手が喜ぶことを考えて動くことが大切です。我々の商品は他社よりも良いと自負していますが、それだけで商売は成り立ちません。こと九州は、そこに何か見えないパワーが働きます。その要素の一つが情です。情は1日で出来るものではなく、時間をかけて懇切丁寧に作り上げるものです。皆さん自信、そしてグループ会社や部門の長にもそのことを示すために、みなさんがまず行動と態度で示して下さい。

◼挨拶は、担当者だけではなく、全員に平等に。
挨拶と聞いて、それは当たり前だと思うでしょう。しかし、営業において当たり前のことができていない人が多いのです。特に挨拶は基本中の基本でありながら、最も重要な営業ツールです。具体的には、営業先の当事者に対しての挨拶は当たり前ですが、需要なのは関係者や脇にいる方々に対しても挨拶をすることを心がけて下さい。良く、調子の良い営業マンは自分の担当者がいたら、まわりをお構いなしにズカズカと進んで、その人に挨拶して調子の良いことを2,3言ってスタスタ戻ります。この際に、周りの人や関係がないけれどもその組織の人間であれば、同じように挨拶をするのです。もし、特定の人だけ挨拶をするようになると、他の人の中に、あの人は調子がいい人だな。こっちにも声かけたらいいのに。という念が生まれてくるのです。

◼業務以外の接点を作る。
大会社の役員や社長になると出ごとが多いです。そして公式の出ごとなので、断ることもできない。はじめはイヤイヤ行っていたこともあります。しかし出てみると、ポツリ寂しそうにしている人と賑やかにおしゃべりしている人がいるではないですか。私は、普段からワイワイしている方で、特に出ごとまでも同じ人と話す必要はないと思って、たまたま1人寂しくしている他の会社の方のところに挨拶にいきました。すると、取引会社の総務部長で役員の方でした。営業の接点で事業部長などはありますが、総務部長など裏方を支える方とは中々お会いすることがありません。また、その方もこのような出ごとで1人で飲んでいたのが、急に若い(参加者の役員や年齢から比較すると)のが来たから喜んでいました。このような経験から、普段の役員会に出ていてあることを思いました。事業部長の票も総務部長の票も、ボード会議では同じ1票。我々のような大きな仕事はシガラミがあります。もし、事業部長が押していても、あの会社は普段俺のところにも挨拶に来やしない。ということで総務部長が反対したら、話がこじれることは自社で起こっている。ということは、同じではないが他社でも起こる可能性はあるよね。そこで、出来る限り、自分が直接関係のないところでの接点にも目を配り、日頃から自社の名前を売って、相手のために尽くすことがやはり重要と思います。

ということで3点とも営業を個人で行わないで組織であることを意識させられる話でした。企業は何かの意思決定をする際に、当事者が1人で決めることはありません。それぞれのプレーヤーがそれぞれの思惑を持って仕事をしています。従って、理想は全てのプレーヤーの思惑を把握した上で取引や交渉を進めることができればスムーズにいきます。が、実際は全てのプレーヤーに面会して議論することはできません。そこで、日頃から組織の周りにも目を配り、将来の商談が少しでもやりやすくなるように場を作っておくことが重要なのです。

同社の支社長はこれまで本体出身からの人間で固められていましたが、同社長は支社の生え抜きです。だからこそ地元の情や人間関係を重視するのかも知れまえん。いや、それだけ実力があるからこそ、人の情やつながりの重要性を知っているとも解釈できます。いずれにせよ仕事は人が絡みますので、情、挨拶、関係性は常に重要な取組だと思います。



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