小売業界の明暗

2017年4月13日 木曜日

早嶋です。

2018年2月期、主要な小売業57社の8割弱で純利益が増加。セブンアイなど3割の企業が最高益になる見通し、と日経にありました。消費者の傾向が継続的な節約志向はあるものの、健康、安全に対しての価値を認め単価を引き上げているのが背景にあるようです。

以下、2017年4月13日の日経新聞抜粋ーーーーー
イオンは12日、18年2月期に売上高にあたる営業収益が前期比1%増の8兆3000億円、純利益は33%増の150億円になる見通しだと発表した。総合スーパーを運営するイオンリテールの岡崎双一社長は「顧客は価格だけでなく価値を評価している」と話す。

「高め消費」を取り込もうと旧ダイエーの店舗を総菜やワインを取りそろえた「イオンスタイル」などに転換する。プライベートブランド(PB)商品は低価格品だけでなく、安全認証を受けた魚や自然肥料で育てた肉など高価格品が好調だ。
ーーーー終了

総務省が発表するエンゲル係数も2016年に26%とおよそ30年ぶりに高い水準になっています。この数字の背景は共働き世帯の増加によって惣菜や冷食の需要が増加したことがあります。また、高齢化層は食やファッションの消費は全体として細っています、健康配慮の商品、家の中を快適にする住居関連で付加価値が高い商品は好調になったのでしょう。

結果、業態としてはコンビニ、スーパーには追い風、生活雑貨も機能や付加価値を提供する企業は追い風になったのです。もちろん企業も努力をしており不採算事業を縮小して不可価値品を揃えている企業が結果業績をあげています。

◯セブンアイ。不振だったスーパー事業で不採算店舗を閉鎖、総菜に力を入れた。
◯イオンも同様の取り組みをしている。
◯ローソンは健康志向の商品が最高益を牽引している。
◯家具のニトリは大都市の百貨店の進出をおこない高価格帯の商品が伸びた。

今後の小売業のマクロ環境は、1)ネット通販、2)人手不足、3)物流費の高騰をどのようにマネジメントするかが課題になりそうです。

インバウンドの爆買いはリアルからネットの世界に移行して越境ECが活況です。百貨店などリアルの投資を続けた業態はネット通販の変化に大きな打撃を受け続けるでしょう。一方で、ネットが扱いにくい生鮮や総菜は、先に延べて健康、安全とあいまって今後注力するジャンルの1つになるでしょう。

人手不足について無人レジの導入や高度化した物流センターに投資をした企業の先見の目というか戦略の勝利ですね。無人レジ関連ではテラオカや東芝テック、NECや富士通フロンテック、富士電機やOKIなどには追い風になりますね。一方、物流センターでは、前回起きたアスクルの火事を受けて大規模倉庫の3割が消防法違反だったので、業界には追い風ながらも追加の設備投資を余儀なくされます(当たり前の投資だが、安全面で)。結果、規模の経済で資金的に余裕がある企業が更に設備投資を行い業界の再編が進むでしょうね。



コメントをどうぞ

CAPTCHA