絶好調のニトリ

2017年3月1日 水曜日

早嶋です。

ニトリHDは順調です。2017年2月期の連結営業利益は、前期比16%増の850億円前後(日経新聞)、過去最高益です。増益はなんと上場前から数えて30期連続。近年の都心の新規店舗出店が好調さに拍車をかけています。

ニトリの売り上げたかは5100億円前後。国内の家具専門小売ではぶっちぎりの売上でイケアが800から1000億。大塚家具が600億円前後。製造小売モデルを行う良品計画が3000億前後なので国内でも業績が良い企業であることがわかります。

利益率もニトリは16%程度で同上の良品計画でも9から10%なので仕組みで稼いでいることが推測できます。87年に創業し、94年にインドネシアに生産工場を設立。2003年にベトナム工場を設立する頃に1000億を突破。2007年に2000億を突破。2010年に3000億を突破2014年に4000億を突破。そして2017年に5000億。まさに理想的な事業計画ですよね。

一方で国内の市場規模は減少しています。国内家具市場規模は1990年がピークで役6兆円、そこから緩やかに減少して2011年に底を迎え3兆をわり、今は3.3兆円程度です。従って市場の低迷とは別に独自の強みを活用して伸びていることが推測できます。

ではニトリはどのようなモデルで成り立っているのでしょう。基本は製造、物流、販売を自社で行い徹底的なコスト管理によって高い利益率を確保するモデルです。バリューチェーンの製造はインドネシアとベトナムの子会社で行い、タイ、マレーシア、インド、中国からも商品を調達。自社工場の商品は上海に物流センターを置き、その他は広東省に同様の物流センターを配置。そこから国内物流センター、各店舗というながれで製造から販売までを徹底的に自社で管理しています。

現在ニトリの客単価は前期並ですが商品には機能性商品、デザイン性を高める商品が好調のようです。またSNSで接客的に露出して20代から30代の若い層に対して評価を得ているようです。川崎市の配送センターには新たにロボットの導入を行い、工場や倉庫の自動化を勧めています。これまでの生地の裁断など人手がかかる作業はインドネシアの小会社に移し更にコストを見直しています。

現在、顕在化している課題は上記から考えても為替ですね。海外の自社工場や協力工場で作る家具を輸入することになるため、ニトリにとって円安は収益圧迫要因です。前期の決算平均レートは108円台で去年の101円台と比較すると円安でした。

現在のニトリを更に拡大するために考えられる方向性はいくつかあると思います。1)中から高価格帯の家具の展開。2)現在の製造小売のモデルに加えてコーデイネート提案までバリューチェーンの幅を拡げる。3)日本と同じような市場である欧米先進国か新興国市場に展開する。4)家具から生活関連分野に横展開してIKEAのようになる。5)生活分野以外の展開を行い、アパレルや食品など、良品計画のような会社になる。がありますね。

仮に1)を行う場合は、企画やデザイン、そしてそれらを高い値段で売っても理由が付くマーケティングを強化することがポイントになります。ただ、なんちゃって高級に仕上げるのであればアパレルのZARAやH&Mのように良いところの家具のデザインを参考に模倣するなどでクリアできるかもしれません。家具の世界は既に権利が落ちたデザインが多数ありますので、それらからスタートするのもありですね。

仮に2)を行う場合は、都市部の店舗で実験して全店舗に展開する。提案する際に、自社製品だけではなく他社製品や輸入家具を含めた自由な提案をする。などとすると現在の層に加えてアッパー層も取り込める可能性はあると思います。

仮に3)を行う場合は、手っ取り早いのは良品計画とのコラボや資本提携でしょう。良品計画の時価総額は7,000億円程度ですので、現在のニトリからすると不可能な話では無いですね。



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