GDPにカウントされない消費者支出

2017年2月16日 木曜日

早嶋です。

日本経済は1995年をピークに低迷を続けています。近年は消費支出や人口も伸びておらず、国内市場は欲望そのものが失ったかのようです。将来の不安から少しでもお金を貯蓄にまわしてパッと使うイメージが全くと言ってよいほどなくなっています。いわゆる低欲望社会です。しかも、これに対して明るく反転する兆しがみえません。

一方で、近年のスマフォ経済に着目すると変化があります。そもそも2007年頃よりスマートデバイスが世の中に台頭しはじめ、多くのビジネスが変わり、消費者の購買行動も変化しました。家計消費支出にカウントされない数字が注目されています。それはデジタル消費、インバウンドの消費、国を越えたECです。特に消費者向けのビジネスを行っている企業は、従来の消費者像を捉えるのではなく、上記のように実体経済プラスαの視点で捉えていく必要があります。

スマフォ経済はますます拡大しています。デジタルテクノロジーの普及によって、ビジネスモデルが変わり、消費者の購買行動が変化しています。特に10代、20代、30代の前半の若者はその変化が激しいです。スマフォの普及が彼らの人生と重なり、生活行動や消費行動に大きく影響を与えています。更に、これまでは購買が当たり前でしたが、そのパターンに新たにシェアする動きが活発になり、いわゆるシェアリングエコノミーの対応がめざましくなりました。

その動きは当然日本だけではありません。スマフォは一気に全世界に浸透したので1つの地域や国で流行るという旧来の動きから一気に全世界で流行するというこれまでは考えにくい拡がりも観察できるようになりました。今後は更に小売業のEC化がかそくされます。この背景はスマフォの発達、通信環境の充実、そして物流網の充実が小売の業界を激変させる結果になっています。

アマゾンは元々書籍でのネット販売でスタートした企業です。しかし日本では書籍の価格は値引きができなかったため、アマゾンは他の国と違って書籍の販売でもガッツリと利益を出し続けました。そしてその利益を日本での物流に投資をした結果、書籍以外の展開でも驚くほどの強みを発揮できる環境を構築してしまいました。これもECビジネスに物流が絡み合っていることを証明する事例だと思います。

また、近年騒がせていた爆買いが急にストップしています。でも実は続いている、あくまでも実態経済を見る限りでは爆買いがストップしているだけです。中国政府は多くの旅行者がポーターとなって日本で購入した商品を中国に入れて、国内で販売するのを見かねて、ハンドキャリーした商品に60%の関税をかける取り組みをしたのです。そうなるとわざわざ日本で買って運ぶ意味がなくなったのです。しかし、その一方で日本にある商品でどのようなモノが素晴らしく、何が欲しいかの情報がネットを通じて一気に拡がりました。そこで気がついたのでしょう。ECで買えばいいじゃんと。で、結果的にネットで購入する人が増えて実態経済での爆買いは縮小してネット上での爆買いは続いているのです。中国政府は当然のようにネットに対しての購買にも関税をかけようとしましたが、多くのネット業界から反発があり、現在は留めている状況です。もちろん中国政府のECに対しての規制は読めませんが、しばらくは今の状況が続くと予測されます。

このように考えると国をまたぐEC、いわゆる越境ECは非常に重要な取り組みになることでしょう。自社は商品を揃え、うまくネット上に商品のを出店する。後は、口コミを考えるだけです。良い商品は圧倒的な母数がある市場ですので一気に普及するようになります。物流面でサポートしてくれる外注業者は数多くいますので日本企業からしても越境ECは乗り出すチャンスといえます。そして今後この変化は消費財だけではなく、生産財の分野まで普及すると予測できます。今までは商社や卸業者などの中間業者が間に入ることで価格が載せられていましたが、ここにも越境ECが物流を活用して一気にアービトラージするという流れです。何れにせよ国もまたぐECは始まったばかりといえます。

2016年の訪日外国人は過去最高の2,400万人を越えています。そのうち約3割は中国人。彼らは日本に対してプロパガンダ的な教育を受けており、日本人が笑った!ということではじめは感動していましたが、実際に日本に来ることで国が与えている情報に疑問を持つようになり、日本に対しての印象が非常に高くなっています。この数が700万人単位で増加して、その人達がネットでバズをするものですから訪日中国人の受け入れは対中政策に対してもプラスといえるでしょう。で、そのような訪日中国人の興味は、バク買いはECでできると言うことですので、中国では体験できない食事や観光や体験におもきが移っています。日本でもコトからモノへ。というキャッチが流行りましたがこれはインバウンドでも確実にシフトしています。

それらの仕組みを支えるのがネットの世界。情報も口コミも支払いも体だけを日本に持ってきて後は全てネット通じて。ですので今後の小売に対してネットの世界を無視することはできなくなるのです。



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