認知的不協和

2007年4月2日 月曜日

早嶋です。

人間は認知や態度に一貫性を保つ傾向があり、そこに矛盾が発生すると、それを不快に感じる心理状態になるといわれます。心理学の世界では、この状態を認知的不協和と呼びます。認知的不協和の心理状態になると、その矛盾を無くすために行動をとります。

例えばダイエットを行っている人が、「ケーキを食べたい!」と思ったときは、心理的な矛盾が生じます。その人は、ある日、期間限定のケーキ食べ放題に行ったとします。この場合、その人は、ダイエットは無期限に行うもので、ケーキ食べ放題は期間限定なので仕方が無いという理由で認知的不協和を解消したのです。

タバコは体に悪いという情報を知りながらも、禁煙するとストレスが溜まるので、喫煙をするんだ、という人も然りです。

認知的不協和を心理学の世界にとどめておくのは勿体無い。という事で、消費者行動論では、この認知的不協和を解消させることによって、消費者の購買意欲を高めることができると実証されています。その例として、iTSの販促事例があります。

本日のnikkeiで、米国アップルの音楽配信に関するサービスの記事がありました。iチューンズ・ストア(iTS)の販促内容、「コンプリート・マイ・アルバム」にかんしてです。その販促とは、iTSで消費者がアルバム収録の曲の一部を既に購入済みの場合、残りの曲をまとめて安く入手できるというものです。

例えば、アーティストAが新しくアルバムを出したとします。消費者CはアーティストAのファンであり、新しいアルバムに入っている3曲を既にiTSで購入しています。消費者Cは、アーティストAの新しいアルバムを欲しいのですが、既に持っている3曲をダブって購入することが勿体無いと感じます。
iTSのコンプリート・マイ・アルバムのサービスこれを解消します。消費者Cが新しいアルバムを購入する場合、アルバムの価格から3曲分の2.97ドル(1曲99セント)を差し引いた金額でアルバムを購入できるからです。

iTSのコンプリート・マイ・アルバムは次の2つのことを上手く利用しています。
1)アルバムを揃えたい消費者の認知的不協和を利用している。
2)既に持っている曲の値段を値引きすることによって消費者の購買障壁を少なくする。

これまでのiTSでは、アルバムの残りの収録曲を1曲ずつ買い足すと割高になっていました。そこで、消費者はアルバムとして再度買いなおしていました。それを新しい販促で、アルバムであっても、ばら売りの手軽さでそのまま利用できるようになります。これは、アルバムの購入の敷居を下げて、新たな売上増を狙うiTSの妙ともいえる販促だと思いました。

ちなみに、こちらのサービスは日本では、まだ行われないようです。

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