y=axの成長とy=ax^2の成長の違い

2016年4月25日 月曜日

早嶋です。

所有型の企業は成長のスピードが線形的(y=ax)であり、クラウド型の企業は指数関数的(y=ax^2)な成長を遂げている。2020年頃には大企業の概念が大きく変わり始めると思う。

インターネットが登場する前は、情報の流れ、そしてモノの流れにかなりの制約があった。他の組織と連携して自由に情報とモノをやり取りすることが難しかったので顧客の要求に柔軟に対応するためには自ら資産を大量に持つことが成功と考えられた。

そう、それまでは基本的にモノを所有することで有利な取引を進めることが出来た。古くは群れを作り、村を作り、やがて集団は国家を形成して力をました。やがて国は帝国になり領土をどんどん広げて行った。この行いは企業の成長と似ていて、やはりグローバル市場へ展開する企業も非常に大きな集団を組織して成長を遂げて来た。

価値を生み出す大前提は、より多くのハードを所有することが常識であった。規模の経済を追求することで1点あたりのコストを下げることにつながり効率を生み出した。一方で、ハードを大量に所有することは人による管理を肥大化させることになった。そのため今度はその人を管理するために階層型の組織を形成し、その在り方が当たり前とみなされた。

これらを前程に考えた組織は、成果(y)を出すためにはその分の入力(x)が必要と認識された。従って組織の成長はy=axとなり、皆が成果を出すために自らのハードを肥大化することが成功要因となった。

このような企業は、トップダウンが効率的で、組織が大きいため詳細な議論は難しく判断の基準は常に金銭ベースが理想、または合理的と考えられた。また、何かを行う際は常に直線的で順次的なアプローチを行い、過去の出来事に基づく判断が正とされた。逆を言えば、一度決めたことを変更する手間や手続きに多大なる労力がかかるため変化への対応が苦手とされた。つまり大きな組織が所以にリスクへの耐性が低くプロセスへの柔軟性が低くなったのだ。

こうなると組織は外部からの変化におもいっきり抵抗する。たとえその変化がその組織に有効であったとしても、肥大化した組織は変化を好まない。徹底的に疑問を持つどころか守備に徹する。これは多くの経営学者が示す通り、破壊的な技術が小さな組織から生まれ、資本が潤沢で組織が大きな企業からは生まれにくい理由だと思う。

確かに昔から大企業と言われている組織で近年の動きを見ると次の2つに共通点をみいだせる。1つは、中核事業を守る反応。現状維持を好み変化を受け入れない。そして2つ目は、組織に属する個人が守りの姿勢になっていて全体最適を考えず常に部分最適を受け入れたくなること。

が、これまでは良かった。所有しない企業が飛躍的に成長を遂げる前は。或いは世の中が成長フェーズでただ一点のゴールをトップが示し、後は効率的、処理スピードが早ければ受け入れられる世の中は良かった。しかし、世の中の流れが変わって来ている。

昨今注目をあつめる企業の特徴の1つに先に上げた企業の対極の姿がある。資産や組織を所有して線形的な成果を出すのではなく、積極的に情報を開示し外部のリソースを適宜活用して目標を達成する。自社で所有するものはその組織の成果に対して中核的な部分のみ。他はあらゆる外部リソースに協力を求め、ときには顧客にも何らかの役を発生させて目標を達成する。そして成長のスピードが指数関数的になる。これまでとは真反対。市場を取りに行くために、自社の資源をフル活用する発想から、市場に協力を求めながら成果をだしていく。全ての決め手は情報の在り方。自社で持つのではなく、外部に委ね皆で共有して徹底的にシェアする。

大企業からするとこの発想は理解できないかもしれない。が、理解できないまま今の在り方を続けていけば、その業界自体が一気にノックアウトになる可能性だってあるのだ。



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