M&Aを考える場合、両方の視点が大切

2015年12月15日 火曜日

早嶋です。

多くの企業は成長戦略を掲げ、数字のスローガンだけが一人歩きしています。例えば、1,000億の企業が2020年に1,300億の売上を掲げる。現状の利益率は5%よりも低く、かつ偏った地域での売上が9割を占める。今後、伸ばしていくエリアは確かに成長市場であるが、規模が5倍から10倍の企業がひしめく。その市場に対してどのようなシナリオで確保するのかが全く議論されていない。

合理的に考えると、成長戦略において数字を作る場合、市場の伸びに応じて売上を拡大する、競合の市場を横取りする、新しい市場に進出して売上を作る。という選択肢しか無い。しかし日本市場全体が成熟を迎えると、市場の伸びに応じて売上を伸ばすという考えは到底かなわない。するとオプションは、競合の売上を横取りするか、新しい市場に進出して売上を作るという2択になる。

このオプションに対して自前で行うか、資本を入れて行うかという議論になる。伝統的な企業の多くが前者のオプションで対応してきたが、それだけではスピードが出せないということで後者を掲げ始めている。戦略の基軸にM&Aを掲げ始めてきたのだ。

が、実際はM&Aに対しての経験が不足しているため、どのようにすすめるのかということで二の足を踏んでいるのが現状だ。また検討段階に入ったとしても、目標である300億の売上を確保するためには、どのような企業をターゲットにして、その資金調達をどのように行うべきかなどの議論が皆無な場合が多い。更に戦略に対しては常に登場人物が自社と市場のみで競合の存在が抜けている。競合がどのような発想で戦略を描いているかの考察が乏しいため自社が資本を入れられる場合の対策や打ち手についての議論が殆ど行われていない。

自社が置かれている業界が成熟で、他社も同じく成長戦略を立てている場合、自社の売上と利益率と株価のバランスを見て、他社が欲しいと思えばM&Aを仕掛けられる可能性は十分にある。成長戦略でM&Aを考えるのであれば、買い手の視点、売り手の視点、双方で十分に選択肢を検討しておくことが大切だと思う。



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