変動係数

2007年2月22日 木曜日

早嶋です。

統計の中で、変動係数(coefficient of variation:CV)というものがあります。これは、標準偏差を平均で割った値をさします。

 CV(変動係数)=標準偏差(σ:シグマ)/平均(μ:ミュー)

標準偏差(σ)は、平均からのバラつきを見るための指標ですが、CVを計算することによって、相対的なバラつきを表現することが出来ます。

例えば、同じ統計データであっても、象の体重の標準偏差と犬の体重の標準偏差では、どちらがバラつき度合が大きいか単純に比較することは出来ませんね。このような場合に変動係数を求めることによって相対的なバラつきを比較することが出来ます。

株の例で説明してみます。東証1部の株価Aと株価Bの数ヶ月間の平均株価と標準偏差が以下のようにあるとします。

 株価A μ=5000円 σ=1000円
 株価B μ=1200円 σ=400円

さて、株価Aと株価Bではどちらの方が変動が大きいといえるでしょうか?これを判断するために、株価Aと株価Bの変動係数を計算します。

 CVa=1000/5000=0.2
 CVb=400/1200=0.33

上記より、CVa<CVbとなり、株価Bの方が変動が大きいということが分かります。

では、ビジネス上では他にどのような使い方ができるでしょうか?例えば、プラチナなどの貴金属はエンジンの触媒などに利用するために、自動車関連の製造業にとって価格の予想は、予算を決定する段階で重要な作業になります。

実は、このような貴金属の価格予想も、変動係数を使って決めることが出来ます。プラチナなどの貴金属は、先物取引で扱われるため、価格は変動します。そこで、金融機関や商社などの専門企業にプラチナの価格予想をヒアリングします。

企業によっては、800ドルと予測したり、700~900ドルと予測する企業もあります。そこで、ヒアリングした内容から、予想価格の平均値を算出します。仮に820ドルと計算できたと仮定します。

次に、過去1年間のプラチナ価格の標準偏差を参考にします。仮に、過去1年間の平均価格が780ドル、標準偏差が50ドルだったとします。

上記から、過去1年間のプラチナの変動係数を求めます。

 CVp=50/780=0.0641

この値を用いて、次年度の1年間の価格を予想するのです。つまり、金融機関や専門商社からのヒアリングで、プラチナの平均価格を820ドルと予測しました。過去1年間の変動係数、0.0641を利用して、次年度の1年間のプラチナの標準偏差を求めます。

 σp=820×0.0641=52.56

これより、次年度1年間のプラチナの価格は、68%の確立で767.44ドルから872.56ドル(μ±σ)のレンジになることが予測できるのです。

ここまで予測を立て、最終的にどの範囲で価格を決定するかは、経営者の判断になりますが、闇雲に予測するよりも現実味があるといえます。

統計の知識って、役に立つことが分かりますね。

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