フィリピン・マカティ市の飲食店展開の考察

2014年10月2日 木曜日

早嶋です。

フィリピンの街並みでも基本は、新しくて高級な店よりは大衆寄りの店の方が人が入っていて、実質的な経済活動が垣間見れた。これはモールやショッピングを含む。

途上国のビジネスは、ターゲット世代が若いこと、セグメントが先進国のように広くないため、単品で勝負すると集客に苦戦する。従って、日本では単品勝負している飲食店もアラカルトのメニューを豊富に提供している。一人あたりのGDPが伸びている時期はアラカルトで多數のメニューで展開した方が無難ということ。

これは別途、マレーシアのように多民族国家の場合も同様。何人かで食べにきても複数メニューの提示があった方が選びやすくリピートされやすい。単品メニューをフルサービスのレストランで提供するにはGDPの成長を待った方が良い。

加えて、地元料理や地域にしかないレストランは賑が薄く、米国流が基本的に賑わっている。フィリピンの特徴は、他の文化をそのまま受け入れていて、自国のこだわりがかなり希薄に感じられる。地元料理や自国料理などの原点回帰はやはり成熟していく国の特徴と言える。これはメニューやレストランだけではなく街の建築や作りにも同様の心象を持った。

他のアジアでは少なくとも食においては日本食に憧れやクールな印象を持っているが、フィリピンは断然アメリカと言った感じだ。ちなみに、いくつかは観察出来てもヨーロッパは皆無。基本は、大味、アメリカのがさつさがより強調された飲食店が賑わっている。

それからフィリピンの特徴は米。ファーストフードやレストランにいくと必ずご飯はいらないかと聞かれる。極端な場合、頼まないでもご飯が出てくる。従って、小麦を主食として食す文化が浸透していない。中華は流行っているが麺を中心としたメニューが少ない。イタリアンもピザは人気だがパスタの品数が少ない。

フィリピンの飲食店はかなり米国の影響を受けている。本来、島国で海に面している国なので魚の捕食が多く薄味になって良いと思うが、フィリピンは気候の影響が強いのか、我々日本人からするとかなり濃い味。更に、米国の影響を受けてか、ケチャップ、BBQソース、ハンバーガー、ピザなどのレストランがこぞって軒を連ねる。

フィリピンは間食やおやつを食べる文化がある。主食としては米だが、おやつにはドーナッツのようなやはりアメリカ文化の象徴がかなり受け入れられている。日本では信じられないほどモールの中にもドーナッツを中心としたカラダに悪そうな甘いお菓子が多數販売されている。そして、実際にパクパク食べている姿が多數観察できる。

米国流は街作りにも垣間見れる。モールを中心に街が展開している点だ。インフラの開発で駅や地下鉄の開発が後手になっている、そのため、先に巨大モールが形成され、その周辺に住宅施設が充実していく。モール周辺は栄え、モールを離れると急にスラムの街並みに戻る。マクロで見てみるとモールの集積が都市となり、都市と都市の間は栄えていないスラムが広がる、そんな感じだ。

このような街の作りになっているため、モールの中は同様なセグメントが集まっているため比較的にマーケティングが容易にできる。モールや都市ごとに集まるセグメントがある程度整理されているからだ。

一方、このような作りで街が展開されると交通インフラの要は車になる。本来は車での移動が増えるとロードサイド型のレストランが注目され開発されて良いのだが、フィリピンは人口が集中しすぎて、他の列車や地下鉄のインフラが整備されていない結果、車の絶対量が多く慢性的な渋滞になっている。この場合、渋滞が完全に解消されない限りロードサイド型のレストランは成功しないだろう。これはたのアジアではインドネシアも同様。但しインドネシアの場合、人口、車の絶対量が多いのに加えて、道路設計の悪さもある。

モールや各都市を歩いていて感じるのは若さだ。他のアジアは案外と年齢が上の人と若い人が同じ場所に集積している(得に香港や台湾はその印象が強い)が、フィリピンは若い世代が集まっている印象。マニラ周辺にフィリピンの人口が殆ど集積していることを鑑みても圧倒的な若さを感じる。

フィリピンの食事情から考える10年後は健康被害だろうか。もともとからフィリピンの料理は味が濃く塩見が強い。ここに加えてアメリカ流のハイパーカロリーフードが日常食に浸透している。街並みを歩いている若い人は身長は高く無いが、横に膨らんでいる。いわゆる肥満体型がかなり散見できる。加えて、内臓に炎症があるのだろう、顔に吹き出物ができている方々が圧倒的に多い。脂質のとりすぎで内蔵がかなり悪くなっている印象だ。今は若いから問題が無いだろうが、他の先進国以上に彼ら彼女らの健康被害は甚大なものになると予測できる。

からと言って今すぐは健康ブームはやってきそうにない。被害が出始める5年、10年のスパンで他の先進国が行ったような健康にお金をかけ始めることがファッションとなりやがて切実な課題となってやってくることは間違いない。



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