R&Dの戦略的活用

2014年9月3日 水曜日

R&Dという部隊が大企業にはある、研究開発の略称だ。私は研究チームと開発チームは基本的に明確に分けることが大切だと思う。私が考える研究と開発の定義は次の通りだ。

研究:3年から5年以上先の世の中に役立つ技術や商品企画の研究を進める部隊。当然、5年から10年先のかなり将来の事を考えるチームもあって良いと思う。
開発:今から1年、あるいは3年程度で世の中で使う技術を開発する部隊。既存の商品を改善するなど過去から現在にフォーカスがあたる。

でも、実際はなにやらごちゃごちゃしていて、どっちがどっちを担っているか混合チームで行っていることを多々観察する。

世の中が成長していて、経済が右肩あがりの頃は問題なかったと思う。が、今のような成熟期になりつつある企業は、問題がある。本来は、商品企画やマーケティングチームがしっかりと旗振りをしながら、戦略に結びつく研究ポートフォリオがあっても良いのに、研究開発が一つのくくりになるため、研究チームでさえ直近の数字に影響を受けてしまう。

こうなると本来の研究チームの仕事ができない。常に先の事を考えるよりも、事業部から目先の事を言われてこなさなければならないのだ。しかし、実際は研究チームからするとピントはずれで考えにもぶれが生じてくるだろう。

このジレンマは研究開発の予算管理と人事管理にあると思っている。多くの企業の場合、研究チームに対しての予算は事業部が出している。そして研究チームの人事考課も事業部の延長で行われていることが多い。従って、将来の事にフォーカスして考えを貫きとうしたところで、予算が来年以降縮小されるかも知れない、評価を落とすかもしれないと研究者が感じてしまえば、当然、直近の数字に近い研究をするようになる。

事業部マターで行う場合、それは開発の仕事だ。研究チームは事業部の予算ではなく、会社全体の予算で動き、細部や直近の出来事に左右されるべきではない。もし、今の世の中が将来を見据えても難しいと思うのであれば、研究チームを自社で抱えること事態に一度アンチテーゼを出す事だってありだと思う。

研究開発部隊を持ちながら、開発の仕事しかしていなくて、研究チームがボタついているのであれば、戦略との整合性があっていないか、戦略が無いかどちらか。重要なのは戦略を明確にした上での組織の整合性、その組織のコントロールの整合性だ。



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