三角合弁

2007年1月12日 金曜日

早嶋です。

07年のキーワードに三角合弁があります。

06年5月に施行された会社法により、会社を設立する際の規制が緩くなったり、会社の合併に関する手続きが簡単になりました。この会社法の施工で、会社に関係する法改正は一通り整理されましたが、タイトルの三角合弁に関しては、買収防衛策の猶予期間を与える形で1年間先送りされました。

07年5月、その三角合弁が実施を迎えます。三角合弁とは、株式交換による買収方法の1つです。株式交換は、他の会社を吸収合弁する際に、親会社となる会社の株式を渡して買収したい会社の株式を受け取ることによって他の会社を吸収合弁する方法です。従って、かつてのように現金で相手の会社の株式を買い取ることをしないでも会社の吸収合弁することができます。価値を持つ自社株があれば、現金を用意することなく買収が出来るのです。

株式交換による買収方法は、99年の商法改正で国内企業に限り可能になった手法です。今回の三角合弁は、これを国際規格規模で可能にしたような感じになります。

例を挙げて説明すると、A社という外国企業が、日本の企業C社を買収したいとします。現行の法律では、外国企業による日本企業の直接合弁は認められないので、A社は日本に100%子会社のB社を設立します。これまでの株式交換では、B社の株式とC社の株式を交換することによって、C社を吸収合弁していました。三角合弁が解禁になれば、B社は自社株ではなく、親会社のA社の株式を、使うことが出来るようになります。これにより、外国企業A社は、実質的に日本企業C社を株式交換で買収することが出来るようになります。

もともとはアメリカでよく行われていた手法です。その理由は、買収したい会社の規模が大きくなれば、それだけ買収するための資金が巨額になります。時価総額の大きい会社は、株式を交換することによって買収が出来れば、大型買収に伴う金銭的な負担が小さくなります。

三角合弁によって、ターゲットとされる日本企業は次のような会社でしょう。失われた10年とも言われた長引く不況の中、リストラを行い、財務体質を健全化して、さらに、もともと高度な技術力やノウハウを持っている会社。そして比較的株価が割安な会社。このような会社は即戦力となるため、買収する会社としては魅力的でしょう。また、資産価値があるにも関わらず、有効活用していない会社。ここの株価が低ければ、買収して成長戦略を立てて収益を上げて株価を上げて売却、といった発想も考えられます。

三角合弁が解禁される前に、日本の企業は時価総額を大きくして、買収されにくい会社規模にする動きが見られました。王子製紙などは、その狙いがあったとされます。これは、買収防衛として最も効果的な方法が時価総額を上げることだからです。この理由は、株価が高ければ買いにくいという発想です。

本来、時価総額を上げるには、企業の経営の質を高めればいいはずですが、ここは即効性はありません。そのため同業者と一緒になって企業規模を大きくする、そして、時価総額を引き上げるという話です。07年の5月までに、大規模な同業社同士の合弁・再編が、いくつか起るでしょう。

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