子会社マネジメントの負のスパイラル

2013年10月29日 火曜日

早嶋です。

子会社は、資本を親会社がもち、財務、営業、経営方針の多くを支配されています。そして、多くの子会社が利益率が徐々に低下しており、売上比率で系列外を発生させようとしています。が実際はスローガンにしか過ぎません。

まず、子会社のトップや役員クラスの多くは親会社からの出向です。親会社では課長、良くて部長クラスの人材が急に小会社の社長になります。その多くが、これまで会社経営をしたことが無い方が多く、企業全体の経営を見る素質がかけていることがほとんどです。そのため子会社が大きな意思決定や大きな改革をすることはそれだけで難しいことです。また、通常彼らは3年から5年で本社に戻ります。もし、子会社で何らかの大きな変化を成し遂げて失敗したら?きっと彼らは無難を選択してこれまで通り何もしない意思決定を貫きとおします。本社に戻った時に自分の経歴が汚れてしまうからです。

多くの小会社は売上の9割とか8割を親会社に依存しています。元々は、親会社の機能部門だったところが独立した会社が多く、社歴も10年前後と浅いところがほとんどです。そして、売上の多くが親会社に依存するため、いわゆる競争環境に身をおいて競合と仕事を取り合うということがありません。従って、子会社に5年も10年もいると競争の感覚が全くなくなり、今のような激しい経営環境にいても、口では効率を上げないといけないと言いながら、結局何も行動を起こしません。何もしなくても仕事が親会社から振り分けられるからです。

近年は更に苦しくなっています。理由は親会社の景気が悪くなっているからです。当たり前に考えて国内のビジネスは縮小傾向です。事業会社を切り出して子会社化した理由の一つに価格を押させる目的があったと思います。本社の人材でやるよりは全体的な人件費や経費を抑えることができる。本社と同じ基準で動く必要がないので親会社としては都合が良い話です。そのため、子会社に対しての要求は徐々に厳しくなります。

子会社は、その要求にこたえるものの、本質的に改革して対応するのではなく、社員や派遣を残業させて非効率な作業の量を力技で対応する、そして悪環境のまま仕事をこなすのです。必ず限界が来て、社員がぼろぼろになるマネジメントですので長くは続きません。これが5年、10年続くと限界がくるのは当たり前です。多くの子会社は既に限界値だと思います。

親会社から仕事を受けるのは親会社から出向している経営層が多く、彼らは最終的に親会社に戻るため強く小会社の都合を反映した交渉が出来ません。そして、勿論小会社の実務の内情を把握していることは稀なので親会社のイエスマンになっているのです。これがますます子会社の仕事を悪化する要因になります。親会社から出向されたマネジメント層の仕事と言えば、強く親会社から言われた仕事を納期通りに割り振りして、今ある資源を均等に割り付けるだけ。計画では必ず達成しますが、そもそも限界が来ているのが5年も10年も続いているため、多くの場合が計画が大きくて未達。誰からも管理されずガバナンス体制も弱いので未達の計画を掲げても何の罪悪感も無い。ずるずるとこれまで通りのやり方を行いながら、それが悪いのか?良いのか?などを考えなくなるのです。

しかし、一方で子会社の成績、特に売上はステイなのに利益率が低下していることに気がつき始めます。理由は明らか、売上は親会社からキープですので一定で、条件が厳しくなるので利益が出にくくなるのは当たり前です。そこで、利益率を改善するということですることは給料の低減。社員のモチベーションの低下が更に大きくなり、利益率は低下する。そこで、売上を伸ばそう!ということで本社からの売上比率の◯◯%をグループ外から取ろう!とスローがんを掲げるのです。

これまで新規開拓をしたことが無い子会社。どうするかというと、通常の仕事に加えて新規の開拓のミッションを追加するのです。新規は既存維持の5倍の体力を使います、それでも難しい作業なのに、そんなことを考えたことも無い上層部は計画をするだけで満足。結果、新規に中途半端に手を出し、既存の親会社の仕事はこれまで通り。ますます組織の効率が悪くなるのです。



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