役員の不仲

2013年3月27日 水曜日

早嶋です。

パナソニックは2014年にプラズマ撤退の判断をしました。遅いのでは?と思います。その背景はトップの意思決定かな?と思い歴代トップ3を見てみました。連結純利益が低迷を続けている中、実態はあまり変化していないことが分かります。

       会長/副会長/社長 連結純利益(百万円)
08年度末: 中村/松下/大坪     -378961
09年度末: 中村/松下/大坪     -103465
10年度末: 中村/松下/大坪      74017
11年度末: 大坪/松下/津賀     -772172
12年度末: 大坪/松下/津賀     -765000(見込み)

会長と社長が変わったりしていますが、中村氏、大坪氏、津賀氏ともにAVCネットワークス社 ・社長出身で、自分の息のかかった人達を後継に選んでいたのでしょうか。12年度の連結純利益も7650億円の大幅赤字のようなので、経営トップ陣の思い切った人事変更が必要なのかもしれません。

企業の意思決定のスピードは、役員の不仲もあるのでしょうか。大手企業の経営陣はパナソニックに限らず、シャープ、東芝、NEC、富士通も経営層の内輪揉めがたえないとききます。

大手企業を見ると役員同士が一枚岩とは思えない企業が多いです。更に、誰と誰が不仲という話も絶えません。階層が上に行けば行くほど、実力よりも社内政治が重要になるという理屈も理解できます。本来は企業の将来に関わる意思決定が重要なのに、やはり自分の保身が重要になってくるのでしょう。

外部との競争に勝てないから社内政治でうっぷんを晴らす。極端な話ですが、自分の得点ばかり気にして、ユーザーの考えそっちのけの戦略は多々あります。沈みゆく船の中で揉め合う実に滑稽な姿ではありませんか。

アップルやアマゾンといった企業はユーザーエクスペリエンスに集中し、しかもその判断はトップが行います。トップがユーザー視点を失ってしまえば、今後は生き残るのが難しいのではないでしょうか。日産のゴーン氏やIBMのガースナー氏がそうであったように、ある意味、似たり寄ったりの経験や能力の持ち主が保身しながら身内で戦うよりも、経営のプロに権限を集約して導いてもらうのが良い時もあります。

日系企業は帝王学やリーダーを選抜して育成する仕組みが不十分で、横並びで育成する仕組みがまだまだ強いと感じます。高度成長期の市場が右肩あがりの時は良かったと思いますが、現在のように窮地に陥った時は適さない考え方だと思います。

うーん、日本企業の経営層と外国企業の経営層の差異は、そもそも、「質」なのでしょうか?「数」なのでしょうか?日本企業の経営に携わる役員数は海外企業と比較して極端に多いです。こちらの要因で内ゲバを繰り返すのであれば数を減らせばOKですね。「質」に問題があれば、上述のようにリーダー育成システムにメスを入れる必要があります。

上記問題は、内部の組織で取り組むとしたら時間がかかるわりに中途半端な結果になりやすいと思います。非常に悩ましい問題でしょう。更に、国民性や社風とも密接な関係がありますので、必ずしも改革が好影響をもたらす保障もありません。

結局、どれだけ組織全体で危機感を共有し続けることができるか?が鍵なのでは無いでしょうか。不思議なのは、成功して成長し続けている企業であれば危機感に疎くなるのも分かるのですが、厳しい経営環境にありながら危機感を共有できていない根本的な原因は何でしょう。自分たちの危機を他人事のように捉えているのでしょうね。



コメント / トラックバック3件

  1. biznavi より:

    イラクなど、極端な事例ですが、民主主義よりも独裁制のほうが上手く機能していた状況があります。環境の変化によっては同様のことが企業にも当てはまるかも知れません。

    特にパナソニクやシャープなど、危機に瀕している企業ほど、強い権限をもったトップが必要です。しかし現実は
    危機に瀕している企業ほど、内輪もめしていますね。企業だけでなく国の政治家もです。危機感は誰しも持っているが、それへの対処の仕方がそれぞれ違う。危機意識が強いと自分の案に対しても思い入れが強くなる。従って、他の考え方を受け入れられないくなる。結果、不仲になる。そんなストーリーでしょう。

    こんなとき、株主が、どこからか経営者を連れてきて、大きな権限を与えて会社を作り直す、というのも一つの方向としてありだと思います。

  2. あつろう より:

    広義のコンシューマーオリエンテッドとプロダクトオリエンテッドの違いでしょうか。

    この”内輪もめ”が日系企業の不振の原因の一つなのかもしれませんね。

    危機を危機ととらえてないので、低迷しているのでしょうね

  3. 壁際珍事 より:

    オイルショックなどがあったものの、日本は戦後一貫して成長してきました。阪神大震災や東日本大震災がありましたが、そのショックも当事者に傷を与えたものの、被災地以外では忘れられつつあります。「平和ボケ」と言われますが、そうした意識があるんだと思います。

    > 株主が、どこからか経営者を連れてきて、大きな権限を与えて会社を作り直す
    そのためには、みんなが1票の民主主義でなく、大量保有の株主が必要ですね。パナソニックの松下家は、どうしているんでしょうか?

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