早嶋です。
BBT総合研究所のまとめによると、世界経済には4つのリスク要因が顕在しています。それぞれ、米国期日通貨の崩壊、欧州経済危機、中国バブルの崩壊、そして日本国際の暴落です。
これら4つのリスク要因は、過去2年間でおおむねソフトランディングしています。その理由は、それぞれの国が通貨を印刷し続けることが出来たからです。先進国は大幅な金融緩和を進めていますが、経済が資金を吸収しない世の中になりつつあり、過去のマクロ経済の理窟とおりに行かなくなっています。但し、ソフトランディングと言っている通り、このお金が一部安定剤的な働きになっているのは否めません。その意味で、まだまだ本質的なリスク要因は解決されていないと考えることが出来ます。
米国の不動産を見てみると、2011年以降、改善方向に向かっています。米国における新築住宅販売件数の推移は2010年の中盤にそこを付き300万件でした。しかしそれ以降は急激に増加しており現在は500万件の推移まで増えています。同様に米国の中古住宅販売件数も2011年以降、再び成長しています。
EUではECBによる資金供給、欧州銀行が保有する国際購入によって、金融危機を緩やかに回避しています。しかし、南欧とPIIGS、西欧と北欧では金融危機リスクの二極化が鮮明に進んだ結果になっています。危機回避のために取られた財政緊縮策は、欧州の景気低迷、失業率上昇を招いています。
フランスでは300億ユーロ規模の歳出削減増税。イタリアでは2014年までの3年間で計260億ユーロの歳出を削減。ギリシャでは115億ユーロの財政赤字削減を調整中。スペインでは、株式取引への課税、年金の物価上昇連動分の凍結を検討。ポルトガルでは所得税と公務員給与の削減を検討。と経済が低迷することは避けられないと思います。
中国の不動産は、金融引き締めによって一旦沈静化しています。但し、引き締めすぎると景気減速が懸念されることから、金融緩和、公共事業対策と考えているようですが、これを行いすぎると再びバブル懸念が浮上する。というように非常に金融政策が難しい状態になっています。中国での企業、家系、公的部門の債務残高、金融機関の不良債権も増加しており、中国での金融も本質的な解決に至っていないことが分ります。
そして我が国、日本。政府債務残高は、ギネスクラスで相変わらずトップ。財政収支の改善もありません。日本はこれまで国際を金融機関が購入していました。つまり、貯金として預けているお金が知らずに国債に化けている仕組みが長年続いています。しかし、これが最近海外投資家の割合が5%程度だったのが9%に迫る勢いになってきました。これまでは日本国債のオーナーは日本人だったのが、1割が海外となると、何かリスク的な要因があれば売り浴びせられる懸念が高くなることが言えます。従って、継続的に日本国債のデフォルト論争も盛り上がっています。
上記より、4つのリスクはそれぞれ小手先の多策を打っていますが、本質的には何ら解決に至っていないのです。米国ドル基軸通貨の崩壊に対して、住宅市場の改善とFRBによる国債の買い取りを行っていますが、財政の崖議論であるように景気優先論と財政再建論が対立しています。
欧州経済危機は、ECBの国債買い取りによる金融危機の鎮静化を行っていますが、南欧の債務残高の改善は未解決のままです。
中国バブルの崩壊に対しては、不動産バブルの鎮静化を行っていますが、企業債務、地方政府債務、金融機関不良債権は未解決のままです。
そして日本国債の暴落ですが、日銀による国債買いオペを行っていますが、政府債務残高削減や財政収支の改善の兆しが一向に見られません。